ep313 ページ16
正直、溜息をつかれるのは昔から日常茶飯事だし、結構慣れていたりする。
……うん、その辺はちゃんと自覚してる。
でも個人的に同族だと思ってるこの人にこうも溜息つかれると――……
なんて少し不本意に思いながら、嫌味に聞こえたらしい発言の弁解をする。
「いいえ、ただ単に驚いているんですよ。彼女案外芯があると言うか、自分の考えをきちんと言えるので」
「つい最近のことですよ。真選組や坂田さん達と関わるようになって随分と人間らしくなりましてね」
なるほど、なら彼女が不機嫌なのは無意識か。
たしかにテツ君の件でぶつかった時はそれこそもっと“奈落らしい”雰囲気を纏っていたもんな。
この戦いの先に何が残るか考えているなんて、私よりよっぽど目が澄んでるよ……。
……まぁ何はともあれ、盤上の登場人物は充分。
ヅラの一派がこの件に噛んだということは、起爆剤に火がつくのも時間の問題だろう。
「いやぁ、面白くなってきましたねぇ。まるで戦隊モノのオールスターズじゃないですか」
また胸を躍らせながらパソコンを開いて作戦に修正をかけていく。
「……桂派の関与、どちらに転びますかね」
しばらくして、佐々木局長が腕を組みながらそう尋ねた。
私は少しキーボードを叩く手を止めて頭を回す。
「……まぁヅラの協力があれば近藤局長の脱獄が少し有利に運ぶでしょうね」
「桂派と真選組の対立の可能性は?」
「うーん、ゼロに近いのでは?お互い自分達の頭の命がかかってる状況なんですから」
それに巷を騒がすあの暴れん坊将軍が共通の敵となれば尚のこと、結束はかなり固くなるだろう。
そもそも、以前本人達に言って嫌な顔されたような気がするが、攘夷志士と真選組の彼等って正反対なようですごく似通ってるんだよなぁ……。
「では桂小太郎の捕縛は正しかったと?」
「えぇ。現時点、私はそう判断しますね。連中にぶつけるなら頭数は多い方がいいですし。
……珍しいですね、そんなに迷ってたんですか?」
笑いながら問い掛ければ、「えぇ、まぁ」と少し歯切れの悪い答えが返ってくる。
……たしかに今回の件は佐々木局長にとっても大一番に違いない。三天の鬼も結局は人間。そりゃ悩みもするか。
「……大丈夫ですよ、多少の予想外は私がどうにかします。貴方はただ見廻組局長、警察庁長官としての役目を果たして下さい。
……そのための参謀ですから」
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時