ep311 ページ14
護れる――
正直、この期に及んでそんな偉そうなこと考えちゃいない。
松陽も護れず、将軍様も護れなかった私が今更どうやって真選組や松平長官、銀時達を護るって言うんだ?
単純に言ってそういう話。
でも、だからと言ってシカトを決め込むことなんて出来なかった。それも事実。
なら……佐々木局長が言ったように“全てを終わらすために元から絶つ”しかないじゃないか。
松陽の弟子でありながら、なぜこんな風に高みの見物をしていられるのか?
その問いの答えを私は持ち合わせてない。
佐々木局長と契約したあの日から、それについては考えないことにした。たぶんそれを考えるのは今じゃないから。
そんなこと松陽本人に言ったら怒られそうだけど。
常に自分自身を省みて――と言っていた松陽が脳裏にチラつくが、私はそれを霧でも晴らすかのように払い除けた。
「たぶん、私……弟子の中で1番出来が悪いんだと思う」
はは、と笑って信女ちゃんを見れば相変わらずの無表情。
私達の間に霜のような沈黙がおりるが、今更何か口を開く気分にもなれなくて窓の外を見た。
ウィーン――……
するとちょうど扉が開いて佐々木局長が帰ってきた。
「おや、珍しいですね。貴女達が揃っているの」
「えぇ、2人で佐々木局長の帰りを今か今かと待ってたんですよ」
2人きりの沈黙に困っていた私は、内心感謝しながら軽い足取りで尋ねる。
「で、どうなりました?すごく面白そうでしたけど」
「えぇ、予想外の展開ばかりで驚きましたよ」
そう言って事の経緯をつらつらと述べ伝えていく佐々木局長。
「――という経緯で桂小太郎を捕縛しました」
至って真面目な表情で報告する姿に、それまで必死に笑いを堪えていた私は「ぶふっ」と吹き出した。
「ヅラが?」
「えぇ、どんな男かと思いましたが拍子抜けするほど呆気ない最後でしたよ」
「喜々公の首を狙ってきたのではないと……。じゃああの男を救いにきたとでも?」
イマイチ腑に落ちない様子の信女ちゃんがそう言うが、私は知っている。ヅラは案外そういう奴。
「いずれにせよ、安い餌で思わぬ大魚が釣れました。
あまりに上手く事が進むのでどこかの参謀が手を回したのではないかと不安になるくらい」
「回してませんよ人聞き悪いなぁ」
いい加減そんなに買い被らないでほしい。
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時