ep253 ページ6
同じ頃、件の飛行船から遠く離れた山道で万事屋、猿飛は藤林鎧門、百地乱破と対峙していた。
「まさか貴方達がついていたなんて……。一体何を企んでいるの?」
身構えながら問いかけた猿飛に百地は包帯に巻かれた口を静かに開く。
「忍は黙して任務をこなす。言えるのは将軍を差し出さねばこの童らが死ぬ。それだけぞよ」
白装束の忍に周りを固められ、逃げる道など到底見つからない。
この状況からの逃亡が不可能に近いことを猿飛はうすうす悟っていた。
そこへ藤林が眉をひそめて続ける。
「やはり知らぬか。忍の故郷が今どうなっているのか」
そして半年前、夜兎らしき集団に伊賀が襲撃され、里の安寧と引き換えに将軍暗殺の共謀を強いられたことが語られた。
「協力すれば新政府樹立後、新しい御庭番集として雇用すると取引を持ちかけられた」
「そんな安い取引に乗ったの!?」
気色ばむ猿飛を他所に車椅子を押す少女が百地に耳打ちをする。
「もう遅かったようじゃ。既に服部の小僧が将軍の首を獲った」
「――……っ!」
その知らせに猿飛は言葉も出ない。
まさかとも思うが、全蔵が将軍暗殺に加担していたとすれば全ての辻褄が合うことに気づく。
怒りとも戸惑いともつかない複雑な感情が渦巻いた。
「残念だったな藤林。またもや服部家に手柄を取られて」
「いや、手柄ならまだある……」
そう言って藤林は大きく足を振り上げ、神楽を踏み潰した。
「者共っ!此奴らにもう用はない!一兵でも多く討ち取り、手柄を――!?」
その時、藤林は自分の身体が意志に反して倒れていくことに気づく。
見れば自分の片足が斬り落とされ、そこから血が噴き出していた。
目を見開く藤林の背後で白装束の男は
「せっかくの指示、悪りぃんだが、俺達はてめぇの命令を聞く義理はねぇよ」
口元を覆っていた布を剥いでそう言った。
「トシぃ……」と感涙する神楽の傍らで、同じく忍に紛れ込んでいた近藤が新八を救出する。
「違いねぇ。俺達を顎で使えるのは天下で1人だけだ」
地面に倒れた藤林は「クソぉ……いつの間に!」と唇を噛み締めた。
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時