【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 陸

ep275 ページ28

……なんだこいつら。


噛み合ってるようでイマイチ噛み合ってない2人の会話に首を傾げた私。



一方の紫頭は

「フラれてねぇよ！」

と必死の形相で否定した挙句、


「そもそもタイプじゃねぇし！」

と、私を指差して叫び散らかす。



いや、私だってタイプじゃねぇよ…などと思っていれば、銀髪がニヤニヤ目を細めて言う。



「えぇ〜そんなこと言って結構気になってんじゃねぇのぉ〜？」

「気になってねぇ！！」


「照れるなって。恋のストーリーってのは『なんだこの女、生意気だな…』から始まるんだよ」


何言ってんだコイツ…。

ジトリ…と2人のやりとりを眺める私。



「はぁ？ふざけんな誰がこんな山姥みたいな女――」

「とか言っちゃって本当はぁ〜？？」

「じゃあお前この山姥が気になるって言うのかよ！？」

「はぁ！？んなわけねぇじゃん！」



いや、こっちだって願い下げだわ。
てかなんで初対面の奴らにこんな全否定されてんの、私。



「そもそも山姥じゃないし」


思わず口から漏れた反論に少年達が私を見る。


「じゃあ、名前言えよ。知らねぇし」

銀髪の少年がそう言った。



「橘A……。……そっちも名乗りなよ」


ふてぶてしいその態度にそうやって返してやれば



「……坂田銀時。んで、こっちはヅラ」

「ヅラじゃない、桂だ」



何のことはなく名乗られてこっちはちっとも面白くない。


「じゃ、A。お前これから俺らのパシリな」


その上そんなことを言われて私の目は思わず点。


「は？」

「この松下村塾では新入りがパシリになるルールなんだよ。手始めにちょっくら走って歩狩汗買ってこ――いっで！！」



その時、意気揚々と語る銀時の頭に電光石火の拳が落ちた。


振り返れば、粥の乗った盆を持つ松陽。


「そんなルールありませんよね、銀時」

「くそ。いってぇ」


銀髪はそう言って頭を抱えてしゃがみ込む。



一方、松陽のゲンコツの早さに唖然としていた私は



「もう友達ができたんですね、“A”」


名前を呼ばれてハッとし、松陽の顔を見た。


そこには満面の笑み。


同じ子供相手なら名前くらい話すだろうと思って紫頭に私を預けた……？




「……はめられた」


それに気づいた私が吐いた悪態すら松陽は笑って流し、


「子供は打ち解けるのが早くて良いですね〜」


とにこにこしながら盆を置いて去っていった。




　

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