【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 肆

ep156 ページ9

―no side―


見廻組の援軍によって劣勢が一気に押し返された。


「これで貸し借りは無しってことで」


そう言った佐々木に、血清を打ってどうにか身体を動かせるようになった銀時が刀を持って迫る。


「こんな返却遅れて延滞料金の一つも無しかこらァァァ！！！」


「またたかりですか。望みは？」


そう尋ねた佐々木の頭を踏み台に、銀時は上階へと舞い上がった。


「定々の首」

「やれやれ、延滞料金にしてはえらく高くつきましたね……」


「いや……安い首さ」


頭を撫で付けて髪の乱れを直しながら溜息を吐くと、佐々木は続けて言った。



「まぁ、善処しますよ。さもなくば参謀殿に串刺しにされそうですから」


ちらりと見た視線の先には修羅のような表情で落ちた刀を鞘に仕舞うAがいた。



「一体何なんですか、あの殺気……。只の参謀とはとても思えませんね」


「ありゃ死んだら殺されるパターンだな」


苦笑いした銀時に


《分かってんなら死ぬなよ……銀時》


インカム越しに釘をさすA。


「わかってらぁ」



そう答えて消えていった銀時を見送るとAは本丸に背を向け、真選組の元へと急いだ。


そしてその道中、インカムを押さえて指令を出す。



「では松平長官、そろそろお願いします」

《おうよ》



その返事と共に江戸城の門から爆音が聞こえ、ゆるりと煙が上っていくのが見える。


《いいかァ！！3秒以内に道開けろぉ……でねぇと天守閣ブチ落とぉす。いぃーち……》



ドゴォォォン――……



相変わらずの滅茶苦茶な脅しに苦笑いし、Aは真選組に合流した。


「橘、外はどうだ？」

「抜かりありませんよ。全警察組織、動員済みです」



その事実は城内の兵達を混乱の渦へ叩き落とす。


「な……警察機構そのものが反乱を起こしただと！？」

「馬鹿な！大殿の命令無しにそんな大軍が動かせるわけ――……」


慌てふためく兵達に、


「一人だけいるんだよ。警察も何でも、好き勝手動かせるお方がな」


近藤は厳しい視線でそう言った。


そう、本来の最高権力者であるにも関わらず、“大殿”の存在によって日陰に追いやられた――……。



「まだ分かりませんか、定々公！」


天守閣から見下ろす定々に声を上げて問う。

そこへAの声が響いた。



《全員、道を開けろ。お通りだ》



一斉に道が開けた先、馬に乗って現れたのは――……




「国に仇なした国賊は貴方です」



将軍徳川茂々だった。





　

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