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ep178 ページ31

―貴女side―



ぱしゃっ――――……




冷たい水を顔に打ち付ける。


その冷たさに眉をしかめながらトイレの鏡に映る自分を見た。


「…………ひっどい顔……」



思わず鏡から目を逸らす。

まったく……何が楽しくてこんなこと思い出さなくちゃならないんだ。


流しに腰掛けつつ、溜息を漏らした。




何年か前、『鬼兵隊』の名前を宇宙で聞いた時、耳を疑ったのを覚えてる。

私の目の前で息絶えた筈のあの隊が亡霊のように蘇っているんだから当然だ。

だがそれと同時に晋助だ、と確信したのもまた事実だった。



何故、晋助が『鬼兵隊』の名を使ったのか考えたこともあった。


晋助自身が過去の遺恨を忘れないためなのか

銀時達への恨み節なのか

『鬼兵隊』を守りきれなかった私への復讐なのか



その答えはわからない。

わからないけれど、今更それを言ったところでどうにもならないことだけはわかっている。


それにどれだけ考えたところで鬼兵隊総督を晋助にした判断が間違っていたとは思えない。


ならばこれは避けようのない、致し方ない結末だった……


……それで諦めがつくほど簡単なものでもないけれど……。




 




「……はぁ、そろそろ戻るか」


溜息混じりにトイレを出て部屋に戻った私だが、部屋に武市変平太は見当たらない。


「あれ、武市さんは?」と問えば銀時が紙を片手に答えた。


「あぁ、アイツならこれ置いて帰ってった。高杉からの伝言だとか言ってな」



晋助からの伝言と聞いて心臓が跳ねた。


だが見れば『同胞よ安らかに眠れ』という文章と机の上の歩狩汗の缶。


「ますます意味わからないな」と呟いたその時、


ヅラと辰馬がハッと息を飲んで語り始めた。




「そういえば……ワシらが黒子野について思い出そうとするとき、いつも歩狩汗が邪魔をしとった」


「だがそれは間違いではなかったのだ。黒子野の過去は歩狩汗と繋がっていたのだ」




そして私たちは山奥で幕軍と白兵戦を繰り広げた日の記憶にさかのぼることとなった。




 

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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時

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