ep163 ページ16
「私と長官は交換条件のもと、契約を交わしました。その交換条件とは警察機関が所有する私のあらゆる情報を抹消すること」
一瞬二人はこちらの様子を窺うようにちらりと視線を投げた。別に無理に話さなくてもいい――まるでそういうような生易しい視線に気づかないフリをして私は続ける。
「本来は契約終了時の予定だったんですが誤算が生じたので早めに消してもらいました」
――だから今更調べても意味は無いですよ
と暗に伝えて笑う。
見れば真選組の屯所はすぐ先に迫っていた。
何か言われるんじゃないかと内心気が気ではなかった。だが特にそんな素振りもなく、何事も無かったかのように
「帰ったぞー」
屯所の門を入って行く2人。
「え、ちょ、まっ……」
思わず引き止めれば、「なんだ?」とあっけらかんとした表情で返される。
「なんだ、じゃないですよ……聞かないんですか、私の過去について……」
過去に何をしでかしたかもわからないこんな人間を参謀に置いておく筈がない。
そう考える私の頭にゴツ、と拳が下る。
「い"っ……」
頭を押さえながら犯人の副長を見上げれば
「テメェに過去のこと聞くのは契約違反だろぉが。自分の作ったルールくらい覚えときやがれ」
へ?
思わず素っ頓狂な声が出た。
すると晴れ渡るようないつもの笑顔で局長が言う。
「君がその過去についてどう感じているかは分からんが、
君一人が加わったところで何も変わらんさ」
局長は、過去を気にするなとは言わない。
それを言わないことが、今の私を最大限に尊重することだと分かってくれているのだろう。
「なによりもA君、君は今の真選組に必要な『仲間』の一人なんだ。契約満了までは働いてもらうぞ」
言いたいことを言い終えた2人は私を置いてさっさと屯所に入っていってしまった。
「…………はは……そっか」
しばらくしてそんな言葉を漏らした私の頬はほころんでいた。
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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時