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ep158 ページ11

―貴女side―


爆音の上がった天守閣へと続く廊下を行く将軍。私はその少し後ろを歩いていた。


《当船は地獄行きだコノヤロー》


インカムから聞こえてくる銀時の声と荒々しくぶつかり合う音に意識を傾けながら、深呼吸をした。

骨が折れ、腕がひん曲がり、血が吹き出す――そんな音が耳元で重奏していれば吐きそうなくらいには気分悪くもなる。


今は佐々木局長の血清のお陰で銀時が動けているとしても体内に毒が入った事実は変わらない。その上、満身創痍で朧とかいうあの袈裟の男と殺り合うなんて正直、心の底からやめてほしい。


……だけどそれは言わない約束だ。


グッと唇を噛み締めた私に将軍が不意に尋ねた。



「参謀、私の選択は間違っているだろうか……」

そして懐から封書を出してふと眺める。そこには“解官詔書”の文字。

私はその様子を黙って見ていた。


「今回の件、誰にも責を負わせぬためにはこの方法しかないと考えた。だが、この選択によって後の政が混乱するのも承知している」


将軍がその座を辞したところで天導衆の都合のいい頭がまた据え置かれるか、台頭する一橋が据え置かれるか……。
どちらにせよこの件が解決したところで根本的な問題の解決には至らない。せいぜい現状維持が限界だ。


「なら、貴方の好きなようにすれば良い。どちらに転んでも大差ないのならせめて自分が後悔しないで済む方を選ぶのも一つの手です」


それを聞きながら将軍は自分の書いた封書をじっと見つめる。そしてしばらくするとその封書を慎重にまた懐に仕舞った。

私はそれを一瞥してから言った。


「貴方の言う“己が信念”を貫くためにその手段を取るならば、最後にそれが正解だったかどうかを決めるのは貴方自身です」


自分の信念は自分にしか守れないし貫けない。
周りがなんと言おうと自分が正しかったと思えばそれは信念を貫いた結果だ。

反対に、屍に溢れ、灰と化した戦場の真ん中で誰かが「お前は悪くない」と言おうと自分が自分を許せなければそれは間違いなく“失敗”なのだ。



「案外、人間ってのは自分の失敗をいつまで経っても許せない生き物ですよ」

「…………そうだな」



そう言って頷いた将軍は私に「ありがとう、参謀」と笑う。



「礼には及びません。今の私は参謀としてここにいるんですから」





 

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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時

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