ep132 ページ35
「いやぁ、それにしても作戦が成功して良かった!流石はA君だな!」
発車も早々に近藤は笑う。それに対して
「いえ、私は作戦立案しただけですから」
当然のこととばかりにさらりと躱して、後部座席で土方の止血作業に入るA。
「旦那も逮捕したことですしねィ」
「いや待って!?さっきから『元』って言ってるよね!?時効!時効だから!!」
沖田がニヤニヤしながらそう言えば、後部座席から身を乗り出さて否定する銀時。
「ちょっと、密室で暴れないでよ。でもまぁ、確かに海老で鯛を釣ったって感じだよね」
沖田の言葉を担いで銀時をからかうA。
それを見た銀時は「…ンのクソ参謀」と青筋を浮き立たせた。
しかし直ぐに思い当たったような表情をすると、悪い顔に一変して言う。
「でもなぁ……」
その声色と表情にAは嫌な予感がしてふと手を止めた。
「オメーら気付いてねぇかもしれないけど、俺が白夜叉ってことはコイツだって――むぐゴォッ!!」
そしてその予感的中を察するや否や、止血用に裂いた布を光の速さで銀時の口に突っ込む。
そして携帯の液晶画面を無言で銀時に見せた。その盤上には……
『今、お前の処遇は私の采配次第だということを忘れるなよ。』
文字面から伝わる殺気に銀時は「ハイ。」と小さく答えた。
素知らぬ顔のAは残った布で土方の出血部位を圧迫する。
しかしじわりじわりと広がり、止まりそうにない出血に顔をしかめる。
「駄目だ。直接縛るか」
そう呟くと土方の隊服を脱がしていく。
その躊躇いの無さに思わず近藤と沖田がギョッとする中、Aは「銀時手伝って」と何事でもない風に声をかける。
嫌々ながらもそれに従う銀時の協力を得て胸を斜めに走る刀傷があらわになる。
「深いな……」
そう呟くと、自らの上着を脱いでその傷を縛った。
「局長、あと何分で病院着きますかね?」
「10分だな」
時計を眺めながら脈を取るAはそれを聞いてふぅ、と息を吐いた。
「それまでは保ちます。大丈夫そうです」
パトカーの座席に身体を埋もれさせ、静かに目を瞑る。だが不意に瞼を上げて銀時にじぃと視線を注いだ。
それに対して
「俺は心配ねぇよ」
そう言った銀時にAは思わず目を見開く。そしてはは、と渇いた笑いを零して言った。
「……お見通しですってか」
「心配して損した」と眉を下げるAに銀時はいつもの顔でニヤリと笑った。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時