ep130 ページ33
月の光に照らされながら睨み合う佐々木と土方。佐々木は長い沈黙の後、携帯越しに見廻組に命じた。
「浪士達を捕縛して来なさい。結構です、人質はくれてやりましょう。事件はもう解決しました」
そう伝えて通話を切った彼の肩に、土方は軽やかに手を置いて言う。
「英断、心より感謝いたしますよ、局長」
「いえ。これからもお互い江戸の治安を守る者として頑張っていきましょう」
「えぇ、せいぜいエリートの足を引っ張らないように気を付けますよ」
煙草を咥えた土方に佐々木は鼻で笑う。
「ご謙遜を。貴方達は立派なエリートですよ……」
瞬間、軽やかに鉄条網を飛び越え去っていく真選組を見送りながら
「……悪ガキのエリートだ――――」
佐々木は忌々しそうに吐き捨てた。そしてそこに1人残ったAを視界に捉える。
彼女は同じ様に真選組を見送り、すっと佐々木に向き直る。
瞬間、露わになる無表情に佐々木は一瞬狼狽した。
ついさっきまでの大仰な笑みが消えたことへの戸惑いとも言える感情。
それを抱えつつ、問い掛ける。
「喜んだらどうですか?貴女の勝ちですよ……橘さん」
何を考えているのか……寧ろ空っぽとも言える雰囲気を纏ってAはふっと笑いを零す。
「いえ……“私達の”勝ちです。佐々木局長」
そして軽く頭を下げると
「では、またお会いしましょう」と言って上着のフードを被り直し、去って行った。
一方、真選組は無事帰還を果たした3人を囲んで作戦の成功を喜んでいた。その中、ふと不満げに山崎が口を開く。
「しかしこれじゃあ見廻組の美味しいとこ取りじゃですか」
「まぁいいじゃねぇか。こっちは超大物のホシあげたんだ。なぁ、白夜叉殿ぉ??」
歓喜の表情で言う土方に対し、パトカーの中から必死の表情で叫び散らす銀時。
「だから元だよ元!!テメーら俺のおかげで助かったのに恩を仇で返すつもりかッ!!」
「どうにも臭え野郎だとは思っていたが、まさかテメーが桂共と並ぶ伝説の攘夷志士だったとはなぁ?」
「だから“元”だつってんだろ!今、善良な市民であるところはテメーら十分ご存知だろぉがぁあ!!」
そこに微妙な沈黙が漂い、山崎が言う。
「殺人未遂起こしてましたよね?テツ蹴り飛ばして殺そうとしてましたよね?」
「あれはテメーらの参謀が――ッ!!」
「自分が悪いんす!!」
その時、弁明する銀時を遮るようにテツの声が響いた。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時