ep125 ページ28
インカムを押さえて不機嫌そのものな顔の銀時が言う。
「何の用だよ」
いや、むしろオマエが何してんだよ…と突っ込みたくなるがまぁ、察しがつくからこの際それは放っておいて……
《ウチの大切な隊士、返して貰える?》
本題に入った。
「いや、俺に決定権無えし」
《そんなの掻っ攫えるでしょ、君お得意の出まかせで》
そう言えば、「人を詐欺師みたいに言うんじゃありません」と返ってくる。
でも万事屋なんて半分詐欺師みたいなもんだろ、と思うのは私だけ?
「大体、この状況でどうやって人質返すんだよ」
《手段と過程は問わないよ。最終的にはその屋上から突き落としてくれればいいから》
「…………ごめんちょっと銀さん分からない」
えらく戸惑い気味に返す銀時に溜息を吐きつつ
《私の突飛な作戦には慣れてるでしょ。
それともなに……?私の作戦じゃ信用に足らない?》
と尋ねてみる。
すると
「……ンな訳ねぇだろ。むしろオメエの作戦が反吐が出るくらい緻密なのは、俺達が一番知ってんだよ」
《そりゃ光栄だね》
嬉しい褒め言葉に思わずニヤければ
「ったく、相変わらず意地の悪ぃ奴だな」
と悪態吐かれる。
《それはお互い様》
しかし、結局「へいへい」と銀時はいつものやる気皆無の返事を返して刀を肩に担いだ。
《さぁ、一芝居頼むよ……銀時》
その言葉に少しにやりとした銀時は佐々木異三郎と繋がっている携帯を再び耳に当てた。
「生来、ポリ公とは気が合わねぇ。黒にも白にも染まるつもりはねぇよ」
気が合わない……か。まあ違いない。
私達は元攘夷志士だ。
「身内救うことしか考えてねぇ不器用なポリ公に、誰も救おうとしねぇ器用なポリ公……。どっちの味方も御免こうむるぜ」
身内のためにここまで不器用になれる。器用なポリ公よりは幾分か素敵だけどね。
「俺ぁか弱い後輩達の味方させてもらうとすらぁ」
銀時の眼は真っ直ぐに前だけを見据える。
浪士達を守るその背中は、私が守れなかった私達の過去さえ守ろうとしているようで眩しかった。
「テメー等が誰も救わねえってんなら俺は罪人だろうと丸ごと掬い取ってやらぁ」
その言葉に思わず頰が緩む。
そう、坂田銀時とはそういう男だ。指の隙間から零れ落ちる砂粒一つさえ掬い上げ、その一粒の為だけに刀を振るえる強さがある。
過去の私は伊達に銀時達を仲間に選んだ訳じゃない。
1148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時