ep124 ページ27
1時間前、屯所にて――――
「その前に一つだけ、伝えておこうか」
Aは出動態勢に入った隊士達を引き止めて言った。それに対し、
「そういうのは早く言えよ。急げつったのテメエだろ」
と悪態吐く土方。
それを「はいはいすみませんね」と手をひらひらさせながら躱すAは広間の床に地図を広げて隊士達を手招いた。
「浪士達の指定した取引現場は無人の廃ビル街の一画」
そう言って取引現場を指し示しながら地図に視線を走らせた。
「ちなみに我々の屯所はここ。そして……見廻組の本部はここです」
「ほぼ取引現場までは同距離ですねィ」
地図を覗き込んで言った沖田にAは頷く。
「到着はたぶん同時。それでいい。問題はその後です」
「……後?」
意味を図りかねて首を傾げる近藤にAは尋ねる。
「取引現場に民間人はおらず、いるのは浪士、真選組、見廻組だけ。まさに三つ巴の闘いです。
こんな時に一番手っ取り早い命令は何だと思いますか、局長?」
「一番手っ取り早い――……?」
と考えあぐねる近藤の横で、土方が溜息と共に呟いた。
「知らねぇ顔は全員殺せ」
正気とは思えないその言葉に「お見事」と指を鳴らしたAは「しかし……」と言って言葉を継ぐ。
「知らない顔を全員ぶった斬ってたら埒があかない。そう、三天の鬼たる佐々木異三郎がそんな煩わしい手を取る訳はない」
「ならどうやって…………」
怪訝そうな隊士達の呟きにAは黙って天井を指差した。
「――……空だよ」
「空……?」
しかし依然意味が理解できないでいる隊士達にAは早口で説明する。
「自分達以外は全滅させたい。でもぶった斬るのは面倒。だから空から一網打尽にするんだよ……ヘリを使って」
ヘリ……そう聞いてはっと息を呑む隊士達。
民間人のいない廃ビル街だからこそ……浪士達が屋上に陣取ったからこそ使える手だ。
「対する我々は少数精鋭で小賢しく対抗します。
テツの救出は局長、副長、沖田君で行ってもらいます。山崎君はそのサポートを宜しく」
Aはそう言い終えると広げた地図を畳み、立ち上がった。
「じゃ……行こうか」
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時