ep123 ページ26
「橘、作戦は?」
《……不本意ですが、浪士と見廻組の勢力が削げた所で漁夫の利を狙いましょう》
今副長が囲まれて潰されれば終わりだ。
現時点で真選組の隊士を無駄に屋上にあげることもしたくない。少数精鋭でテツを回収、逃走を狙うしかない。
結論に至ったその時――
「こうなったらお前も道連れにしてやる!」
浪士がナイフ片手にテツを引っ掴んだ。そこへ一斉に斬りかかる見廻組。
「あぁぁぁあああ!!!」
ドゴォン――と地鳴りのような音がして屋上に砂埃が舞うのと同時、テツの悲鳴が途切れる。
「テツーーーー!!!」
副長の叫び声が響くのを他所に、私は砂埃が晴れていく浪士の輪へと目を凝らした。
そうすれば、ばたりばたりと倒れていく見廻組の隊士達。
何が起きたのかと思えば、目に留まった先に思わず呟きが漏れる。
「…………おい、マジかよ」
月に照らされて見えたのは銀髪を結い上げた、どこか懐かしい風貌の男。
その男――――坂田銀時はニヤリと不敵な笑みを湛えて立っていた。
「テメエは!!」
目を見開いて叫ぶ副長だが、私は別のことに焦り「予定より早くない?」と悪態つく。
そして「驚いてるとこすみませんけど」と言って副長を現実に引き戻した。
《来ましたよ、見廻組の鬼札》
プロペラの旋回音を響かせながら屋上の上に現れたのは追撃用ヘリ。
今にも発射せんと機関銃を構えるそれに「ったく、短気だなオイ」とぼやいた。
「まあまあ待てよ。別に真選組につこうってんじゃねーよ」
銀時が携帯電話越しに繋がっているのは佐々木異三郎か。
ヘリを目の前に、見廻組は副長と浪士達を逃すまいと出口を固めている。
ここでヘリが発砲すれば見廻組だって多少の死傷は避けられないだろうに……。それを分かっていて隊士達をここに寄越したのか。
本当にあちらさんの局長はとんでもない奴だな。
なんて考えながら溜息を吐いてはみたものの、銀時がいるのはこちらにとっては好都合。使わない手はない。
《副長、このインカム、あの銀髪バカに渡して下さい》
「はぁ?」
《大丈夫です。これ見れば分かりますから》
そう伝えれば、副長は銀時にインカムを放った。
パシリとそれを受け取った銀時はげんなりしきった表情でインカムを耳につける。
それを見て私はニヤリと笑った。
《言っとくけどその顔見えてるからな?》
1155人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時