【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 参

ep118 ページ21

―貴女side―


首を突っ込むな、と言ってはみたものの、インカム越しに伝わってくる隊士達のやるせなさ。

そんな彼等に私は、耐えろよ……と念じつつ、鉄条網を使って何とか佐々木に喰らいつく副長を眺めていた。


どんなに副長が苦境に立たされようと、見廻組の隊士達が手を出さない以上こちらも手は出せない。
そして一対一で優勢な佐々木が隊士達の加勢を必要とする訳はない。

つまり現状、副長は一人で闘うしか選択肢は無いのだ。


もし、ここで真選組が手を出せばそれこそ“警察組織の潰し合い”に言い訳がつかなくなる。それだけは避けたい。


そう考えながら佐々木を見れば


「踊りなさい」


刀と小銃の二刀流で副長を追い詰めていく。


「さすがは三天の鬼。考えることが鬼畜だ」


それをぼーっと見ながら私は呟いた。
頭が回る奴の作戦は往々にして性悪だ。

そんな事を思いながら、満身創痍の副長を横目にパソコンを叩き始める。


「お、おい参謀！副長は大丈夫なんだろうな！？」


すると痺れを切らした永倉さんに問い詰められるが、


《そんなの知りませんよ。副長次第でしょう》


パソコン叩く手を止めずにそれだけ返す。

第一、大丈夫……って何を以って大丈夫なんだ？言っちゃあ、この状況が既に大丈夫じゃないだろ。

なんて心の中では悪態を吐きつつ、私はインカムを押さえた。



《で、実のところどうなんですか副長？さっきから撃たれて斬られてのズタボロ具合ですが》


「……五月蝿え、黙ってろ」

《だそうでーす》


インカムから聞こえた暴言に黙る隊士達。副長自らやるって言ったんだからやってもらわなきゃこっちも困る。

そうは言いつつも、パソコンの画面を眺めては渋い顔しか出来ない。


「あと20分か……」



《局長、見廻組はまだ建物内に侵入してきていませんよね？》

「あぁ。あっちの別働隊は総悟が足止めしているからな。それ以外は来ていないようだ」


《現状を話し合ってもどうにもならないので取り敢えず先のことを話しましょう》



今回の作戦の遂行には副長が佐々木異三郎を足止めし、時間稼ぎをすることが前提になっている。

万が一、副長が負ければ作戦自体が瓦解する。少なくとも痛み分け、引き分けじゃなきゃ困る。


　

　

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