【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 参

ep109 ページ12

キレッキレの飛び蹴りが炸裂したテツの頭は自販機に思っ切り突っ込まれたまま。
それを放置で副長が隊士達に言う。


「おい、いつまで休憩してんだ。切腹させんぞ」

「いや、切腹なら後でいくらでもやりますけど」

「それ、誰ですか？」


え……？誰って――……



「佐々木鉄之助ですよ！」


振り向いたお目目きゅるんきゅるんの人物に


「「いや誰お前ええぇぇぇえええ！？」」

思わず副長と息ぴったりに叫んでしまう。



「すみません。自分、ベビーフェイスが恥ずかしくてグラサンで隠してたもので……」


いやいやいや、ベビーフェイスとかいうレベルじゃないよね？
なんか眼きらっきらし過ぎてベルサイユのば◯みたいになってるけど！？


「色々思うところありまして、今までの自分はきっぱり捨てて新しく生き直すことにしたっす！」


…………そーかぁそーかぁそりゃ良かった。
うん…………良かったんだよね……？
あまりに変わり果ててるから何とも言えないけど取り敢えず良かった良かった。


副長の後を甲斐甲斐しくついて行くテツを見送りながら私は微妙な気持ちで廊下に突っ立っていた。




　



そこに丁度沖田君が通りかかる。


「あ、お疲れさんですAさん」


かったるそうに挨拶した沖田君をじぃっと見つつ、ふと呟く。


「…………そうだよね。本来、ベビーフェイスってこういうのだよね」

「何の話ですかィ？」


いや、こっちの話……と誤魔化せば沖田君の持つ書類から覗く『釈放手続き書』の文字。


「それどうしたの？」と聞けば「あれ、Aさん知らねェんですかィ？」と頸を傾げられる。

……何のことだろう？と不思議に思っていれば



「万事屋の旦那が見廻組に捕まったんでさァ」


まさかの爆弾発言。



「そりゃまた何で？」

「公務執行妨害だそうで」


またかよ。銀時、どんだけ警察組織の公務執行妨害したがりだよ。

以前の手錠騒ぎを思い出しつつ、溜息を吐いた。


「なんならAさんが代わりに行きますかィ？釈放手続き……」


目の前で書類一式をひらひらとされるが、私は「やめとくよ」と返す。


「絶対、銀時に八つ当たりされるし……見廻組怖い」


三天の鬼――佐々木異三郎……。
取り敢えず今は知らないでおきたい。





「じゃあ銀時のこと宜しく」



そう言って私はまた自室に戻った。




　

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