ep2 ページ4
運ばれてきた抹茶パフェを一口。
「はぁ〜ただいま、愛しの抹茶よ」
独特のほろ苦さを味わいながら頬を緩めている私の頭からは初出勤のことなど完全に消え失せた。
そう、時には斬り捨てることも世の中大事。
そんなことを考えていると
「なぁ新八、なんであいつフード被ったままパフェ食べてるアルか?」
可愛らしい声が聞こえてきた。
「屋内で帽子被ってるとハゲるって言うネ。アイツ、ハゲてんじゃネ?」
「神楽ちゃんッ!?」
あまりのぶっ飛び発言に声を裏返して止める眼鏡の少年。
というか私の毛根はお陰様で元気です。心配には及びません。
「気になるアル。なんでフード被ってるネ?」
依然、疑問を解決できずにごねる少女を
「きっと隠したい何かがあるんだよ」
何とか納得させようと尽力する少年。
その発言を聞いてしばらく考え込みながら黙っていた少女は次の瞬間、両手をポンと打ち鳴らして言った。
「頰の十字の傷アルな!」
るろ剣かッ!!渋いな!渋いとこ持ってくるな!?
心の中でツッコミを繰り返していると目の前のパフェはすっかり温くなってしまった。いけないいけない。食べるのに集中せねば。
「ふぅ、美味しかった」
久しぶりの抹茶に大満足で会計のレジに並ぶ。
「500円です」
さぁて、腹ごなしも済んだところで本当にそろそろ職場に向かわないとなぁ。
そんなことを思いながら私は財布を開けた。
空の財布を――――。
しばらくの思考停止。
そして私は思い出したのだった。
地球に来るまでの旅費で私の財布は文字通り、スッカラカンであることを。
「お客様……?」
「え……あ、あの……すみません、所持金が無くて」
「は?」
そうだよね、その反応になるよね!私が店員でも「は?」って言うよ、うん!
鞄の底に小銭転がってないかひっくり返してみるもそんな都合のいいことなどなく……
「給料入ったらすぐ払いに来るので今日は何とか——」
失礼承知の提案に、渋りつつも「まぁ……」と言ってくれる。その優しさに安心したのも束の間——
ガシリと腕が掴まれて背後から
「ちょっとちょっとおねぇさーん、食い逃げは良くないよ食い逃げは〜」
やる気の欠片も無い声が聞こえた。
聞き覚えのある声にまさか、と振り向くと
店内の照明を反射する銀の髪に死んだ魚のような目で鼻をほじる男が一人。
坂田銀時だった————。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時