【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀

ep15 ページ17

―貴女side―


数分前、どこかで攘夷志士の暴動が起きたらしく今や屯所内は大騒ぎ。

こんな真夜中に暴動かよ……と思いつつもふらりと局長に近寄って尋ねる。


「局長、暴動はどこで？」

「3丁目の交差点だ」



3丁目、3丁目…………あ、ここか。

キャリーケースから出した地図を広げて廊下にうずくまり、にらめっこをする。
そして東西南北に視線を走らせ、目を瞑ってしばし熟考。






「……おかしい」


私の脳細胞はその結論を弾き出した。


三丁目の交差点は人通りが少ない工業地帯のど真ん中だ。主要な道路に面しているわけでもない。
攘夷志士は社会に異論を唱える集団だ。人がいない場所で暴動を起こして何の意味がある？


「まさか……」


私は広げた地図を乱雑に掴み、キャリーケースを引いて隊士達が話し合いをしている広間の扉を開け放った。

瞬間、多くの瞳がぎろりとこちらを向く。


「……何の用だ」

「参謀が作戦立案に参加することに何か問題でも？」


私はキャリーケースを投げ出し、彼等を睨み返した。そして局長と副長に向き直り、言う。


「これは罠です。暴動を止めに行く必要はありません」


広間がどよめく。それに構わず私は地図を広げた。


「三丁目の交差点なんて人目にもつかない場所、攘夷浪士が暴動の舞台に選ぶと思いますか？

あくまで予想ですが、真選組の主勢力を誘い出し屯所を襲撃するつもりではないかと」


二人は神妙な表情をして黙り込む。


「局長、ご指示を」


全員の視線が一点に集中する。皆が固唾を飲んでその言葉を待つ中、局長は言った。


「全員、三丁目へ出動。暴動を止めに行け」


隊士達の冷たい視線を背中に感じる。だが、局長は続けた。


「俺とA君が屯所に残る。ここを守んのが局長の役目だ」


広間は動揺で揺れる。


「しかし！もしそいつがその攘夷浪士とグルで近藤さんの暗殺を企んで――……」


そいつ、と言いながら私を指差した隊士。


「チッ……」

私は舌打ちと共に刀を手に取り、鞘から抜く。


そして――――


　

　




しゅっ――――……！



抜き身の刀を思い切りブン投げ、背後の壁に突き立てた。

それに目を見開き、腰を抜かした隊士。皆が歪な動きで私を振り返る。


……馬鹿馬鹿しい。話になりゃしない。

振り乱した髪のまま、深い溜息を床に向かって吐き出した。


「テメェらの仕事は暴動を止めに行くことだろーが。グダグダ言ってないで早く行けよ……クソが」


　

ep16→←ep14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す