柒拾弐 ページ32
「ねぇ、あの子本当に大丈夫かしら」
3人で昼餉を作っている時、雛鶴がそうこぼした。
「少し気になるけど…天元様が心配するなと仰ったのだから、きっと大丈夫よ」
まきをはそう言ってのけたが、顔は不安げだ。
「でもあの山、仕掛けが沢山仕込んであるのよ?それに、向こうの山は野犬もいるわ」
須磨の言葉に2人の顔は更に不安げになる。
「…天元様には悪いけど、少し手助けに行こうかしら、」
「ええ?!ダメに決まってるじゃない、訓練なのよ!」
「でも、あんなに細い男の子が一山越えるのも大変でしょう?それを1時間で二山越えて尚且つもう1時間で帰ってくるなんて…」
「それは、確かに不安だけど…」
須磨はよし、と決断したように顔を上げた。
「やっぱり私、行ってくるわ。天元様に叱られてもいい!!」
「須磨ァ!!」
「ダメったら!」
「何かあったんですか?」
「それが、須磨があの男の子の訓練の手助けしようと…え?」
今のは誰?
バッと3人が後ろを振り向くと、泥や擦り傷だらけの人物が立っていた。
「あ、ただいま戻りました。すみません、喉が渇いてしまって…お水を1杯いただけますか」
さも平然と台所に入ってきて、水をねだるその人は、つい1時間ほど前に山へ入ったはずのA本人だった。
「ちょ、ちょっとA君?!訓練辛いかもしれないけど、ちゃんとやらなきゃ…」
「二山越えればいいんですよね?それなら、はい!たった今越えて帰ってきましたよ!」
Aは、えへんと胸を張って言ってのけたが…どうにも信じ難い。
「…嘘は良くないわよ?」
「う、嘘じゃないですよ」
ほら、とAが懐から出したのは紛うことなき宇髄が指定した二山先の神社のお守り。
本当に、たった1時間でこの子が?
皆唖然としてそのお守りを見つめていると、おずおずとAが3人を見た。
「あのー、お水を…」
「あっ、すぐ出すわ!」
Aに水を出している間に、須磨が宇髄にAが帰ってきたことを報告しに行くと、すぐさま宇髄が現れた。
「本当に帰ってきやがったか!」
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ぴえんはけつの穴 - 嘘だろなんでハートついてないんだ…!こんな神作つけないほうがおかしい…設定も文もキャラの関係性も何もかもが面白いです…!! (10月30日 15時) (レス) @page25 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます!素敵な作品と言っていただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品!!!!すっごく好きです!!とっても面白くて続きが気になります!!!更新頑張ってくださいね!!!待ってます!!! (2019年11月18日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷斗さん» 大変失礼しました、すぐに直します!教えて下さりありがとうございます!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗(プロフ) - 度々すみません、!柒拾参の6行目ですが、1時間時間になってます、! (2019年11月10日 11時) (レス) id: 3d539c4143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月25日 23時