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非番・耳 ページ38

その日は晴天だった。
本丸の裏に干した布団と布団カバーの白が眩しかった。綺麗好きの数珠丸恒次と石切丸が自主的に洗濯してくれたのだ。2人共真っ白になった布団にさっぱりした様で、洗濯物の間をのんびり歩いていた。

珍しく出陣要請もなく、Aは縁側で短刀達が走り回る姿をぼんやりと眺めていた。


薬「大将、暇か?」


隣で包丁藤四郎の耳掻きをしていた薬研が囁いた。耳にかかる息がくすぐったい。包丁は既に秋田達と遊んでいた。


 「まあそうだな。やる事ももう無いし…」


突然、薬研がAの肩をガッと掴み、自らの太腿に審神者の頭を乗せた。膝枕という奴だ。
Aは混乱した。


 「何事だ?」

薬「大将にも耳掻きしてやろうと思ってな」

 「その、気持ちは嬉しいが、恥ずかしいしな…」


薬研はまあまあまあとやんわり拒否権を剥奪し、Aの耳に綿棒をそっと入れた。
カリカリという耳の内側の壁を引っ掻く音が鼓膜に届いた。気持ち良いが、こそばゆい。Aは身じろぎした。

気になって薬研に尋ねる。


 「何故、私に耳掻きを?いや、好きだと言うなら構わないが…」

薬「ん?あー、兄弟たちの耳はもう掻き尽くしたから飽きてきてな。新しい耳を掘りたいなと」


発想がマッドサイエンティストのそれである。
変な場所に突っ込んで綿棒が抜けなくなったという事態だけは避けて欲しいものである。

急にゾワっと鳥肌が立った。背筋がゾクゾクする。
驚いて薬研の方を見るとニヤニヤと笑みを浮かべている。


薬「大将、急に振り向いたら危ないぜ?」

 「今、何か…!?」

薬「ははっ、いち兄と同じ反応だな。息をふぅーっと吹き掛けたらビクッとなった」


恥ずかしさで赤くなった顔を隠す様にAは元の体勢に戻った。
薬研はまた笑って、耳掻きを再開した。

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いづみ(プロフ) - 餅田さん» コメントありがとうございます。がんばります! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 28595e5e52 (このIDを非表示/違反報告)
餅田 - 続きカモン! (2020年8月1日 23時) (レス) id: b17d16c344 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いづみ | 作成日時:2019年2月28日 23時

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