検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:19,584 hit

異変・三日月 ページ28

三「俺たちは主に頼り過ぎたのかもしれない」


布団の上にAを寝かせながら、三日月がそんな事を言った。緩んだ浴衣の胸元を揃え、布団を掛ける。

Aは只の寝不足だった。目の下の隈がそれを物語っている。


三「この間も真夜中に出陣要請があった。もう少し労ってやれれば…」


三日月の言葉は長谷部に向けられているようで、独り言のようでもあった。
長谷部は彼の目に浮かぶ月が異様な光を帯びている事に気付いた。だがそれが何を意味するのかは分からなかった。
彼はこの本丸の初期の頃から存在する刀で、ここの初太刀だった。対して長谷部はここ1.2年で顕現した打刀。忠義心は誰にも負けないと自負しているが、主や本丸の事となると三日月には全く及ばない。

知らない事ばかりだった。三日月が何を考えているのかも、自分や三日月、いや、刀剣男士を主がどう思っているのかも。
Aの寝顔を見て悶々と考えていると、急に腹の虫が鳴いた。顔を赤くして天井を見遣る。
三日月はさて、と立ち上がった。


三「長谷部殿、そろそろ出るか。長居しても仕方ない」


三日月に賛成であるのと、気を使われた恥ずかしさと、自分の食欲とがないまぜになったよく分からない感情で、長谷部は速攻で返事した。くるりと踵を返した所で、


三「俺は厠に行ってから向かう」


三日月の声を背中に食堂に足を向ける。本格的に腹が減ったのだ。









長谷部が部屋を出たのを確認すると、三日月は自らの主に向き直った。膝をつき、手を頰に添える。


三「まさかこんな秘密を抱えていようとは。この俺がすっかり騙された。だが安心しろ。俺は口が硬いし、幻滅もしていない」


手を顎に滑らせ、首、鎖骨をなぞり、浴衣の中に潜り込ませる。胸の頂点で手を止め、満足げな表情で囁いた。


三「俺は主を愛しているぞ、何があっても」

演練・引率→←異変・違和感



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いづみ(プロフ) - 餅田さん» コメントありがとうございます。がんばります! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 28595e5e52 (このIDを非表示/違反報告)
餅田 - 続きカモン! (2020年8月1日 23時) (レス) id: b17d16c344 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いづみ | 作成日時:2019年2月28日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。