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『お兄様目を覚まして！ なんでこんなこと』
『くどいぞ。この国では俺が王だ。お前が口を挟む資格などない』
開幕してしばらく。少しだけこのショーユニットが人気になる理由がわかった気がする。もちろん、ショーが面白くクオリティが高いというのもあるが。
なんでキャスト全員美男美女……？？？
顔面偏差値が国立大。信じられない、顔が良い奴らがこんなにも集まるってあり得るのか？ 神様ってのは随分エコ贔屓するな。
それにさっきも思ったが普通に面白い。所詮子供向けと高を括っていた。街中の劇場でやっていてもおかしくないレベルだ。食い入るように観劇する。
『どうすれば、元のお兄様に戻ってくれるのかしら……昔はあんなにも、音楽が好きだったのに』
『エム様……。では、私が、彼の前で歌を歌ってみましょう』
『歌を？ ネネ、それはどういうこと？』
『王に思い出させるのです。歌うことの楽しさを。仮にでも私は、宮廷お抱えの歌姫でしたからね』
『それは良いアイディアだわ！ 早速、試してみましょう』
ぴくり、体が震える。何も考えずに楽しむのも終わりのようだ。聞きたい、でも、聞きたくない。
場面が切り替わる。
『王よ。思い出してください、音楽の素晴らしさを、歌うことの楽しさを』
どこか見覚えのある緑髪の少女がすぅ、と息を吸うのが見えた。思わず身構える。
来るぞ。
――それは、とても優しい歌声だった。脳を埋め尽くす“いつもの”感覚。泣き出してしまいそうだ。
俺は静かに耳を塞いだ。
☆
「ありがとうございました！」
現実に引き上げられた。自分が未だに耳を塞いだままだということに気付き、ゆっくりと手を下ろす。もう陽は斜めに傾いている。
公演は終わっていた。割れんばかりの拍手は止み、観客が次々と立ち上がっていく中、俺一人だけがずっとそこで動けずにいた。
冷や汗がまだ引かない。
「…………はぁ」
結局、いつも通りか。
あれの原因解明どころか、普通の歌にしか聞こえないなんて。やっぱり、あの時俺は気が狂っていたのか。
「隣、少しいいか」
「えっ」
急に頭上から降ってきた声に肩が跳ねる。反射的に頷いた。
「あ、あぁ……どうぞ」
失礼する、とその人は言い、腰を下ろした。思わず二度見する。
先程のショーで《王》を演じていた男だった。劇中の性格を反芻し、身構える。非常にリアリティのある演技だった。元々そういう性格だという可能性も――
「最高のステージだっただろ」
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (
レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶（？）みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です！！お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます！！ (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです！応援してます！ (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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