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「は？」
思わず目を見開いて、とんでもない発言をした彼の顔をまじまじと見つめる。
「お……おい、流石の俺でも怒るぞ。からかうなよ」
「からかってなどいない。なんだお前、オレのことそんな風に思ってたのか」
顔を少し険しくしてみせ、腕を組んだ彼に「心外だな」と言われる。
確かに、他人のことを虚仮にするなんて、コイツは死んでもしなさそうだ。
でもそれでは、説明がつかない。
「じゃ、なんで。音程がブレブレで、声が震えて、ブレスもうまくできてなくて……あんなの、どこの審査も通らないぞ」
「なんで、って。何かを好きになることに、理由は必要か？」
「っそういうのを聞いてるんじゃねぇよ」
「まぁそうだろうな」
それを最後に黙りこくってしまった天馬を見つめながらも、頭の中では脳が勝手に凄まじい速さで記憶を遡っていた。まるで映画を早戻ししたように。
目的の映像を見つけたのか、それはしばらくして止んだ。
「…………」
幼かった頃の記憶だ。
まだ何も考えずただ歌っていた頃の、まだ、何も知らなかった頃の。
母の、声だ。
『A。歌うだけではいけないの。しっかりとした技術がないと意味がない。貴方の声には、常に責任が伴っていることを忘れないで』
『はい、お母様。私、今度のコンクールも頑張るね』
責任。海星の名を、俺が、歌を使って、轟かせねばならなかった。それには、途方も無いスキルが必要で。
まぁ、あれもこれも全部、無駄に終わったわけだが。
「想い、だな」
「お、もい……？」
「さっきの歌……『ショーを成功させたい』、『皆を笑顔にしたい』という想いが伝わってきて……ううむ、なかなか言い表し難いな」
「――うそつけ」
今までほとんど出したことなどない鋭い声がいつの間にか口から飛び出ていた。
俺の反応が予想外だったのだろう、目を丸くしたまま固まってしまった天馬が今は俺の目には酷く……悪役のように、映った。
歌は、そんな不確定な要素で印象が左右しない。想いなんて、そんなものは音楽の世界には不要だ。
だって。そうでないと。
――お母様は、私に嘘を吐いていたの？
「っはぁーーー……。ぃよし。ごめん、俺、ちょっとどうかしてたわ。さっさと練習しねぇと」
「あ、あぁ……そうだな。オレは気に入っていても、観客はそうとは限らんしな」
「お前……やっぱ馬鹿にしてるだろ」
「まさか。さて、特別だ。オレが見ていてやるから、開演までになんとか人に聞かせられるまでにお前の歌唱力を戻すぞ！」
戻すって、お前、ちゃんとした俺の歌聞いたことないじゃん。
そう突っ込むと、振り返った天馬は意味深に笑ってみせた。
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (
レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶（？）みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です！！お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます！！ (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです！応援してます！ (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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