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『全国民に伝えよ。これよりこの国での音楽活動は一切禁ずると』
『なっ……お、王よ、それはあまりにも』
『うるさい、これは決定事項だ』
そう言って赤いマントを翻して退場する王……天馬を追いかけるようにスポットライトを当てつつ、舞台袖に近づくにつれ減光する。
と同時にスピーカーから流れていた荘厳な音楽を物悲しい物に変えて、ああ目が回りそう。
「Aくん、調子はどう？」
「死ぬほど忙しい、手が足りない。お前今までこれを全部一人でやってたのか？」
「まぁね」
「才能マン怖ぇ……」
フォーマルな衣装に髪をセットした神代がひょいっと肩越しに覗き込んでくる。今回での彼の役は王の側近なのだが、それが様になってるのがなんだか悔しい。
「僕も手伝えたらいいんだけど、次の出番もすぐだから……」
「いや、これくらい俺一人でなんとかしてみせる」
だからお前も自分のことに集中しろ、と神代を追っ払う。ありがとうと少し笑った後彼はまた舞台袖へと戻っていった。
さてと、他人にああ言った分、俺も最後までやってやるか。
開演前に感じていたあの途方もないプレッシャーは幾分か和らいでいた。今の俺にあるのは、舞台を成功させてみせる、という決意だけ。
☆
盛大な拍手に見送られ、四人が戻ってくる。もう太陽は徐々に傾き始めていて、彼らの表情はその逆光のせいでうまく見えない。
しばらく、誰も何も言わない。
最初に口を開いたのは天馬だった。
「お前ら……」
「…………」
「――大成功だな！」
「いえーい！ キラキラワクワクドッキドキ！！ 今日も最高のショーができたね！！」
「まぁ、悪くなかったんじゃない？」
「観客もみんな笑顔になってくれていたし、本当に頑張った甲斐があったね」
「この調子で明日もやり遂げるぞ！」
「おーっ！」
だいせいこう。大成功。
俺は、失敗、しなかったのか。
みんな、笑顔になって、くれたのか……！
「ふっ、はは、あはははっ……！」
「うおっ！？ 急にどうしたんだ！？」
「あはっ、はは、あ゛ー……！ っしゃあ、やってやったぜーっ！ なぁ、俺今なんでもできそうな気分だ！」
今日の分の最後の公演を終えてやっと「達成感」とやらが追いついてきた。
なんだか終わってみれば全部大したことなかった気がして、自分はなんてちっぽけなことで悩んでいたのだろうと馬鹿らしくなる。
俺は、まだ、舞台に立っていられる。
人を笑顔にすることはまだ、できるんだ！
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (
レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶（？）みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です！！お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます！！ (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです！応援してます！ (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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