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「全員揃ったな? よし、では、今日も頑張るぞ!」
「よろしくお願いします!」
「……っあ、お、お願いします」
「Aちゃん? どうしたの?」


慌ててワンテンポ遅れて挨拶をする。えむが眉を下げて俺の顔を下から覗き込む。

余計な心配を持たせないように彼女の頭を撫でた。


「いや、ちょっとぼーっとしていただけだ。なんでもない」
「ほんとに? あんたにぶっ倒れられても困るんだけど」
「寧々、心配なら素直にそう言えばいいじゃねぇか」
「はぁ? 別にそんなんじゃないし」


相変わらずツンデレだなぁ、とからかってやるとご機嫌を損ったのか「心配して損した!」とか言ってぷいっとステージの方へ行ってしまった。

それを見た神代は少し頬を緩めた後、俺に向き直った。何を言いたいのか手に取るようにわかる。俺ってそんなに貧弱に思われていたのか?


「それにしてもAくん、大丈夫かい? 明日からまた公演が始まるし、今日は体を休めた方が……」
「なぁに言ってんだ神代。明日だからこそ、お前らの顔に泥を塗らないために今練習するんだろ」
「……まぁお前がそう言うのなら、それを信じるとするか」


流石座長と言うべきか、天馬の一声で全員が気持ちを切り替える。先程の神代の言葉を反芻する。

――『明日からまた公演が始まるし、……』

明日。ついにここまで来たか。

連日、寝る間も惜しんで脚本と睨み合ってきて、もらった時は新品同然だったのに、今では見る影もないほどよれよれになってしまっている。

ぎゅう、と拳を握る。まずは明日、必ず成果を上げる。初歩の初歩で躓くわけにはいかない。もう、期待を裏切るような真似は……したく、ない。


「……っし。神代、通しまでに演出の最終確認したいんだがいいか?」
「もちろんだよ。司くん、Aくんを借りるね」


なんだその言い方、と神代を呆れた目で見やると、彼はどこか含みのある笑顔で返事をした。





舞台裏のセカイ。


「あっ、Aちゃんいらっしゃーい! って、わぁぁぁ、お顔がどよーんってしてるよー!?」
「あ、あはは……ちょっと、眠れなくってな……」
「何か、あったのかい? 僕らで良ければ話を聞くよ?」


三角形の光に包まれて現れたAはミクの言う通り明らかに活力がない。

……ミクは知っていた。幼い頃からAを見守っていたから、彼女が今、何を思ってここまで自分を追い込んでいるのかも。

だからこそ、何も言わない。これは、Aちゃんが自分で想い出さないといけないから。


「ん……」
「寝ちゃったね」
「うん……」


ねぇ、Aちゃん。


案外、答え合わせできるのはもうすぐなのかもね。

__第六幕__→←__



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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶(?)みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です!!お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます!! (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです!応援してます! (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:詩声 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年1月6日 9時

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