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どさり、と倒れ込むようにしてAはベンチに腰掛けた。頭が鉛のように重い。

結果、残っていたパンをなんとか手に入れたが気力も体力も使い切ってしまって、今こうしてここにいる。包装を開けることすら煩わしく、そのまま寝てしまいたかった。

普段徹夜などは滅多にしないAは耐性がついていない。体が限界を迎えるのも時間の問題だった。

幸いなことに、ここは人通りが少なく日当たりも良い。昼寝をするには絶好のスポットだ。

もう我慢できない。おやすみなさい。

パンは放課後食べよう、そう考えたのを最後に、Aの意識はコンセントを切ったテレビのようにブツッと途切れた。





温かい水中を漂っている感覚。ふわふわと思考が散り散りになって、何も考えられない。

ずっとこのままがいい。

心底そう思って、もっとしっくりくる姿勢を探すために頭を枕にすりと寄せる。……待て、枕?

そこで俺は眠りから引き上げられる。何か、地味に硬くて柔らかいものが頭に当たっている。体も妙にぽかぽかする。なんだこれは。俺はベンチで昼寝をしていたはずだ。

誰かが俺の髪を梳くように頭を撫でた。


「は!?!?」
「む……起きたか。おはよう」
「あ、はい、おはようございます……じゃなくって!!!」


真上に、何故か、本当に何故か、天馬の顔があった。

顔が、真上に。俺は、それを下から横になって見上げていた。

目に見えて慌てた俺に、「危ないからしばらくそのまままでいろ」と天馬が言う。いやいや、それは無理だろ。


「なんっっっっっで俺は!! お前に!!! 膝枕されてんの!?!?」
「うぉっ、お前急に大声を出すんじゃない」
「お前が言うな!!!!」


そう。あの少女漫画では常連、年頃の女子なら一度は憧れる(友人談)膝枕を、どんな天変地異が起こったのか、天馬司にされていた。無許可で。

俺の寝ている間に一体何があったというんだ。


「昼休み、お前に脚本の変更点を伝えようと教室に行ったのだが」
「もう来んな頼むから」
「お前がいなくてな。今にも倒れそうな様子で購買へ行ったと聞いて追いかけてみたら」
「追いかけるなよ」
「ここでお前が死んだように寝てたから、オレの膝を貸してやろうと思って」
「何故???」


未だ混乱の最中にいる俺を置いてけぼりにして、「流石オレ、気遣いもスター的」などとほざく。いよいよあの疑問が核心へと近づく。

前々から気になっていたことを口に出した。

__→←__第五幕__



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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶(?)みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です!!お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます!! (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです!応援してます! (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:詩声 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年1月6日 9時

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