��-2*そんな顔、しないでよ。 ページ22
風磨くんに手を引かれながら、ゆっくりと家路を歩く。
社宅帰ったら、まず着替えて、洗濯と掃除。
土曜日にやることは山積みだ。
離れられないとか離れたくないとか言っている場合じゃない。
『…着いちゃったね、』
部屋の前で手を繋いだまま、寂しそうな顔でドアを見つめる風磨くん。
そんな顔、しないでよ。離れたくなくなるって…
「さっ、溜まってた家事やらなくちゃ〜〜。じゃあね？また………月曜日に。」
空元気を振り絞って目一杯の作り笑顔を向けて、ずっと離したくなかったその手をそっとほどいた。
顔、引きつってないよね？…上手く笑えてますように。
『おう、…俺も家事やんなきゃな。また、な。』
ふわっと柔らかい笑顔を向けられたけど、その目はどこか寂しそうで。
思わず瞬時に目を逸らして、私は自室へと入って行った。
数秒遅れで、隣のドアが閉まる音を聞いた。
風磨くんも、離れたくないって思ってくれてたなら嬉しいな。
………恋って、どうやって実らせるんだっけ。
久々すぎてわかんないよ。
っていうか私、風磨くんからちゃんと告白されてないし……
中島先輩から聞いただけで。
答え合わせなんて、昨夜からさっきまでの出来事が全てかも知れない。
でも、、ちゃんと本人に確認しないとな。いや確認ってどうやるの？
「風磨くんって私のこと好きだよね」？…何かすごい、自意識過剰じゃん、恥ずかしい。
…私から言えば良いのか。そうだな、例えるなら…合格するのが確実の試験を、わざわざ受けに行く感覚、ではあるんだけど。
恋愛は受け身ばっかりで………告白とか、今までしたことないかも。
「恥ずかし過ぎるよ………」
思わず玄関にしゃがみこみ、溜め息をついて頭を抱えた。
��-1*『いつから菊池のモノになったの？』→←��-1*「……帰りたく、ない」
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作者名：かるめら | 作成日時：2020年5月28日 12時
