夢の案内人 ページ21
「獪岳、起きてよ。もう朝だよ」
Aの声で目が覚めた。バッと勢いよく布団から起き上がる。
「わっ...どうしたの急に。変な夢でも見た?」
心配そうに眉を下げて俺の顔に触れてくるA。
...夢?あれは夢だったのか...
「ぼーっとして...大丈夫?まだ眠たいの?」
「いや...。早く出るぞ、お前も着替えろよ」
布団から出て畳んである隊服を手に取る。
Aは何故かその場から動かない。
「おい、なにしてんだ」
「それがね...櫛が壊れてて...」
Aの目線の先を辿ると、彼女の隊服の上にばらばらに壊れた櫛が置いてあった。
「寝る前は壊れてなかったんだよ。なんでだろう...」
・
宿を出たあとから、獪岳は何かを考えているようだった。多分、壊れた櫛について頭を悩ませているんだと思う。
どうして櫛が壊れたかは分からないが、思い当たる節はあった。
それを獪岳に話そうと思い、声をかける
「獪岳、私実は今日夢を見たの」
「......どんな夢だよ」
ポツリポツリと、私は夢で起きた事を獪岳に話した。
・
夢の中で、私は真っ暗な部屋にいた。
右も左もわからなかったけど、とりあえず前に歩くことにした
しばらく歩いていたら目線の先に白い光の道が見えた。
私はその道に向かって歩みを進めた
もうすぐそこにたどり着くという時に、後ろから手首を掴まれた。
「そちらへは行くな」
「え......」
聞いたことのある声に思わず振り返る。
「君は俺と来るんだ」
そこには優しく微笑んだ煉獄さまが立っていた。
「でも...」
煉獄さまの後ろには、真っ暗な闇が広がっているだけで何も無い。
こわい
目の前のその人に恐怖を感じて、掴まれた手を振りほどいて後ずさる。
煉獄さまは変わらぬ笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ
「おいで。大丈夫だ、何も不安に思わなくていい」
どうしようと困っていると煉獄さまが痺れを切らしたように強い口調で言った。
「君は俺といくんだ...さぁ早く!」
「っ...!」
煉獄さまの大きな手がぬっと伸びてきて反射的に目を瞑る。
少しの時間が経った
...何も起こらない。恐る恐る目を開けると、煉獄さまの手は私に触れるか触れないかの所で止まっていた
「....どうやら君を連れて行くのは無理みたいだ。もう少し彼が遅ければ、上手くいったのになぁ」
どこか寂しそうに微笑み、煉獄さまは 一言「すまなかった」と言って私に背を向け行ってしまった
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Ms3(プロフ) - 間違えて前作にコメントを送ってしまいました。すみません。この話ほんと大好きです!更新ずっと待ってます! (2022年2月5日 13時) (レス) @page32 id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
どまたん - 面白いです!頑張ってください (2020年11月15日 19時) (レス) id: 4fadde88bd (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 希乃夏さん» ありがとうございます!嬉しい...。更新頑張ります!! (2020年4月9日 17時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 怖い話大好き人間なので、続きが気になります!更新頑張って下さい! (2020年4月9日 2時) (レス) id: 65dd38510e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 春雷さん» ありがとうございます!更新できてなくて申し訳ないです...。頑張ります!番外編いいですね ...お話考えてみます! (2020年4月7日 14時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばりぼり | 作成日時:2020年3月18日 18時