続：獪岳と同期の子の話

20.赤い森 ページ15

煉獄さまが亡くなった。相手は上弦の参だったらしい



不思議な事に悲しくはならなかった。彼の死に納得してしまった私がいた。




鴉にその報せを聞かされた後、獪岳と藤の家へ行った。その後こっそり一人で抜け出してきた。



少し一人になりたかった



行く宛もなく、ふらふら歩く。



歩きながら、あの日の夜のことを思い出していた。


・



月が山道を照らす美しい夜。
Aは例の先輩隊士と合同任務を行っていた。

夜空には幾千もの星々がきらきらと輝き幻想的な空の景色をつくっている。対するこの地には、あたりを真っ赤な血で染めた森が広がっていた。






階級乙の二名の隊士は、鬼に一瞬にして斬られた。


真田は身体を縦に斬られ、上村はAを庇って腹を斬られた。


二人の隊士は重症の状態にもかかわらず刀を握り立っていた。



二羽の鎹鴉が夜空の向こうへ飛んでゆく。
隊士の指示で、応援を呼びに。




...応援が来るまでに、出来ることはしなければ。



｢はぁ.........出てこい！...っ.........鬼め｣


ガサリ。


隊士が森に向かって叫ぶと、気配がこちらに向かってくる。月明かりがその姿を照らした



｢！...貴様....十二鬼月か！...うっ｣



背丈の高いその鬼にには三対の目があり、瞳の中には十二鬼月だということを表す文字が刻まれていた。



真田が叫ぶと、斬られた傷がズキリと痛む。
彼は刀を地面に突き立て、その場に片膝を着いた。肩からドクドクと血が流れる。



 ｢お前...っ...上弦の壱......黒死牟だな｣

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