図書室の彼女『 雲雀 恭弥 』

44話 ページ44

『…』


「Aちゃん!できた?」


『…クリームこんな感じでいいのかな』


「そうそう!」


『盛り付けとか苦手なんだよな…あっ京子教えてくれない?』


「もちろんいいよ｡Aちゃんは決めた?」


『誰にあげるか?いーや､自分で食べようかなって｡これ美味しいのかわかんないし誰かにあげてお腹壊されても困るし｡京子は?』


「私はね…」


「京子!こっち来て!!」


『あ､黒川さん…だっけ､呼ばれてるよ』


「あっうん､また後でね」


『またね』




…はぁ…なんで家庭科でケーキ作りなんか

男子はたしか料理じゃなくて裁縫だっけ




はぁ…帰りたい






･







･






ケーキが完成し教室へ戻ると男子達が待っていた

私は渡す相手とかいないし…こっそり出ていけばいいか




誰にも気づかれないよう教室を出る


…しかし



「あの!」


『えっ!?…びっくりした､はい?』



気づかれてないと思ったのに…というかこの人と私話したことないし…名前も知らん…




「ケーキ渡す人いないんですか…?」


『え…はい…』


「あのっそれなら僕に!!」


『いや私のなんてそんな…美味しいかわからないし､他の人から貰った方がいいんじゃないですか?』


「…その…」


『…もしかして貰えなかった?』


「ええっと…ははは」


『美味しいかわかりませんよ?それでもいいなら…』


「なにしてるの」


「っ雲雀さん!?」


『雲雀?』


「何群れてるの」


「いっいや…」


「ん?何持って…あぁ､そういえば今日は調理実習でケーキを作るんだったね｡なに?僕に?」


『いや雲雀にも誰にもあげるつもりないんだけど…この子が欲しいって言うから今あげようと』


「…へぇ､君食べたいの?」


「えっ…え､え…遠慮しときますーーッ!!!」


『えっちょっと!!…別に気にしないけど…傷つく…』


「A」


『えっはっはい』


「こっち､来て」


『…嫌っていう選択肢は』


「ない」


『ですよね…』








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