ゴールデンレトリバーとロシアンブルー

お見合い 2 ページ32

ｰミナside

翔吾は無言で私の手を取って歩き出した。



ミナ「きゃっ！」



慌てて椅子に置いていたバッグを掴む。



ミナ「ま…、待って、翔吾。」



こちらを振り返らずに歩く背中に声を掛けると、翔吾は足を止めた。



翔吾「…なんで。」

ミナ「え？」

翔吾「なんで、俺に付き合ってって言っておいて、お見合いなんかするん？」

ミナ「翔、」

翔吾「ミナさん。」



翔吾が私を遮る。



翔吾「…あいつと結婚するん…？」



答えは否だ。

…だけど。

追い掛けてきた男が私の肩を抱く。



男「行きましょう。」

ミナ「…ええ。」

翔吾「ミナさん！」



翔吾を無視して、私は男とエレベーターホールへ向かった。

…これでいい。

もう翔吾とは会わない。

それが私の答えで、それが正解だ。



男「さっきの男とは、どういったご関係ですか？」

ミナ「…妹の幼馴染みです。」



翔吾は、Aの幼馴染み。

それ以上でも、それ以下でもない。

私は男に抱かれながら、自分にそう言い聞かせた。

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