ゴールデンレトリバーとロシアンブルー

兄と姉、そして弟 8 ページ30

ｰ翔吾side

翔吾「…どうしろって言うねん。」



Aが乱暴に閉めたドアを見つめて呟く。

…ミナさんに“好き”って言われたこと無いねんぞ。

いつもミナさんが俺に言うのは“私と付き合って”。

本気かどうかも分からない。

本気なら、嬉しい。

だけど、からかわれているだけだったら？

そう考えると、怖くて言えなかった。



翔吾「…ヘタレ、か…。」



…Aの言う通りやな。

あいつには陸さんにちゃんと伝えろとか言っておいて、いざ自分のことになると尻尾を巻いて逃げ出そうとしているのだから笑える。

綺麗で、明るくて、魅力的な7つ上の女性。

俺の方が年下だし、ミナさんにはもっといい人がいるだろう。

そんなこと、分かってる。

だけど…。

ミナさんが、お見合いする。

ミナさんが、結婚する。

ミナさんが、誰かのものになる…？

そんなの嫌や、耐えられへん。



翔吾「…ほんまに、どうしろって言うねん…。」



ベッドに倒れ込んで呟く。

そのとき、LINEの通知音が響いた。



翔吾「…？」



A：さっきは言いすぎた、ごめん。
やけど、私翔吾にはちゃんとミナに気持ちを伝えて欲しい。
翔吾に後悔して欲しくない。
私が陸さんと付き合えたのは、翔吾が背中を押してくれたからやから。
今度は私が翔吾の背中を押したい。



翔吾「A…。」



A：明日のお見合い、行くのも行かんのも翔吾の自由やけど。
もしミナに振られたら、そのときは



続きを見て、思わず頬が緩んだ。



A：私が慰めてあげる。

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