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□階段□ ページ15

玲奈の母親が転校させる、とか何とかいって席をたつ。演説など馬鹿馬鹿しい、と父親が然り気無くいったことが耳に入った。

近くで夏樹の体温が変わっていくのがわかる。私は春菜ツバメの演説が始まった頃、無意識のうちに彼の腕を掴んでいた。少しずつ、彼の腕に力が入ってきてる。

ゆっくりと掴んでいたその手をするり、と滑らせた。夏樹は黒く重い雰囲気を纏って父親の前に立った。


何だ、と表情1つ変えずいう父親に始めてみる顔で怒号を飛ばした。


夏樹「出てけよ!!さっさと帰れよクソ親父。別に彼奴らがいたって1つも不利益を被らない。それにな…てめぇに与えられた《自由》なんていらねぇんだよ!俺のことは俺が決める」


夏樹が感情任せに本音をいった初めての言葉。少しずつ、少しずつ、悲しい王子様が自分の本当の居場所を見つけていく。


夏樹の行動に次々と親に面と向かって皆、自分の意見をぶつけだす。


波留「帰ってくれよ。あんたが苛ついてると、いつも俺まで苛つきたくなるんだよ」

陸「父さん、ごめん。俺…弁護士じゃなくて、小説家になりたい。自分の《自由》にさせてくれ」

言葉遣いは乱暴であってもなくても、自分の意思を伝えた。各々の両親は親の期待通りにならない子供に肩を落とす。きっと思って畏怖だろう、こんな風に自分のことを思っていたのか、と。


夏樹、もう隠さなくていい。強がらなくていい。あの優しい夏樹でいて。


「クソ親父を…でしゃばらせてすまない。皆に土下座をさせてすまなかった」


ゆっくりと膝を折って、床に頭を近づける。彼の低い姿勢からは《本気の覚悟》が見えた。

彼のその姿勢を見た波留と玲奈、陸は夏樹の後ろに並び、同じように床に頭を近づけた。

春菜ツバメは優しく微笑んで夏樹を立たせた。
美森はこういうこと?、と2人の手を取り合わせる。途端にうぇーい、と騒がしくなる部屋。大人は少し嫌な顔をしているが、成長を喜んでいるようにも見えた。

美森「A!!」

美森がやったね、と笑顔で抱きついてくる。私はまるで虫のようにその手を叩き落とした。


あ「触らんな。汚らわしいその手で」


私の言葉に皆がその場に固まり、冷ややかな風が抜ける。



あ「自分の利益、自分の為、自分に居場所の為、自分のやり方を正当化する…そんなことの為なら人の親まで侮辱するんだ。侮辱しても許されるんだ?」




夏樹が変わる為…




あ「ふざけんな。お前に何がわかる?」









___今度は私が消える番だ。

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Mai(プロフ) - 見たい!つづき (2021年10月7日 16時) (レス) @page21 id: c466e4313f (このIDを非表示/違反報告)
ゆいまる(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2021年1月3日 13時) (レス) id: a0d73dbad3 (このIDを非表示/違反報告)
りな☆(プロフ) - 一気読みしました!更新頑張ってください!面白いです〜! (2017年5月11日 23時) (レス) id: f0df852b63 (このIDを非表示/違反報告)
??¦菅田 すぬ ?(プロフ) - 美姫さん» ありがたいお言葉頂戴いたします。ハイ!遅くなりますが、更新させていただきます!今後もよろしくお願いします! (2017年4月4日 18時) (レス) id: c8b02da013 (このIDを非表示/違反報告)
??¦菅田 すぬ ?(プロフ) - 東雲さん» ありがとうございます。なかなか更新出来ず申し訳ございません。必ず完結させられるよう頑張ります! (2017年4月4日 18時) (レス) id: c8b02da013 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SNOOPY | 作者ホームページ:SNOOPY  
作成日時:2015年3月25日 16時

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