ひ ね く れ 兎 。【学校のカイダン】

□階段□ ページ16

夏樹side
何か俺何もできないみたいじゃーん、と項垂れるタクト

あ「タクトが意外と優しいことがわかった」

タクト「おいっ」
つっこんでまじかよー、と唸るのが見てて面白い

あ「ありがとね、死ぬかと思ったし」

そこまで腹減ってたのか、と不思議に思う

タクト「じゃあ、お礼にお肉頂戴」
タクトがいったことにすかさずつっこむA

あ「バカか、アホか！…ま、一切れ位ならあげる」
ちょっと予想外の反応に驚く
Aは機嫌が余程いいみたいだ

タクト「やった。じゃ、あーん」

そう言って口を開けるタクトにえ、と戸惑っている

あ「え、まじかよ。…ったく」

世話焼きのようにフォークで一切れステーキを刺し、タクトの口へ運ぶ。タクトは幸せそうに口を閉じると美味しいと連呼した

タクトにちょっとムッとした感情が生まれた気がする
別に、Aは俺の彼女だし…
タクトが好きな訳じゃねぇし…

ふと見ると楽しそうに笑ってる彼女

俺のだから関係ないし
俺と付き合ってんだし

何か、何か…何か




夏樹「…ずりぃんだよ」




何が狡いんだ?、と目の前不思議そうに見つめるAの顔があって驚く。慌てて口を手で押さえた

今の声に出てたのかよ、最悪だ

陸「妬いた?」
まさか、と言う陸に気づかされた。さっきの感情は、ヤキモチ…嫉妬だ。

あ「夏樹顔赤いぞ?」

思わず顔を右手で隠す、そして大丈夫と繰り返す

南「タクトに妬いたのね、あーんしたから」
気持ちを見透かしたように何度も言う南


あ「…そうなのか」

少し声のトーンが落ちて俯き、髪で表情が見えなくなる
別に、と否定しようとしたらカチャカチャと食器と金属が擦れる音が耳にした
手元を見ると一切れのステーキがフォークに。


あ「夏樹口開けて」


そうして俺の口元にフォークを近づける
俺は混乱しながらも少し口を開け、フォークのステーキを含んだ


夏樹「…美味しいけど」

あ「…これでいい?」

夏樹「いいって?」

あ「や、妬いてたんでしょ」
何か妬いてくれてありがと、と続ける彼女の顔は赤くなる一方で

波留「夏樹可愛い」

色々言われてるけど聞こえない。ちょっと嬉しかったりして

たがそれはぶち壊された

あ「タクトと夏樹間接キスだな」

この一言によって。
思わず吹き出して噎せる

フォークはAので、俺らはそれで食べたからだ間接キスだと言う

夏樹「ぶち壊し」

Aは吹き出した俺らを見て大爆笑
気づいてなかったんだ、と笑いまくる



だが、突如笑顔は消えた

□階段□→←□階段□

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す