【オリジナル】Milky Princess -彼女達の甘い秘め事-【GL/短編】 (ページ6)

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[クリスマス企画]姫と聖夜の祝福をページ6

部屋に入って早々、凜と口付け合う。
この後も触れ合える時間はたっぷりあるけど、
少しでも長く彼女と繋がっていたいのだ。
唇を離すと、持っていた荷物を彼女が降ろしてくれた。
「…新婚さんみたい。ひなちゃん女の子なのに。」
「凜が良いなら、私が男役でも良いよ。」
「やだ。女の子のひなちゃんが良い。」
「冗談だよ。
ケーキ買ってきたし食べようよ。」
人に慣れなさ過ぎて冗談を真に受けてしまう彼女が可愛くて仕方が無い。

箱から二つのケーキを取り出す。
モンブランとミルフィーユ。
二つとも凜の好きなケーキだ。
「可愛い。ひなちゃんはどっちにするの？」
「凜が選ばなかった方にするよ。だから先に選んで。」
少し驚いた後に、ケーキを見比べて悩む彼女。
「じゃあ、ミルフィーユにする。」
「分かった。じゃあ食べよっか。」
付属のスプーンを手渡し、いただきますと声を揃えた。
最初の一口を掬って口に入れると、
控えめな甘さとざらざらとした舌触りが
＜あるもの＞に似ている事に気付いた。
「…このモンブラン、凜のキスと同じ味する。」
「え…。もしかして、それも冗談？」
「違うよ。本当に凜のキスの味がするの。
キスした後にこれ食べたからすぐに気付いた。
舌触りとか特に一緒。」
「……ひなちゃん、何かえっち。」
凜はそう呟いてから、赤い顔を私の肩に押し付けた。
クリスマスは怖い。
恋人達に聖夜の魔法を掛けてしまうから。
「ねぇ、食べ合いっこしよ？
その…、そっちも食べたくなっちゃって。」
彼女の方からこんなおねだりをしてくるとは珍しい。
「良いよ。こっちおいで。」
了承し、ケーキ同士と私と凜の体同士をそれぞれ近付ける。
彼女の肩口に右手を回すと、彼女も
私の腰回りに左手を回して応えてくれる。
私は左利きで彼女は右利き。つまりは。
「凜、あーん。」
「え、んっと…。あーん。」
単なる食べ合いっこでは無いと言う事。
＜食べさせ合いっこ＞と言う表現の方が合っているだろう。
蕩ける様な甘い一時は、長い様で短い。

「私ね、凜にプレゼントを用意したんだ。」
鞄から小さめの袋を取り出し、彼女に手渡す。
「…クロスイヤリングだ。でも片方だけ？」
「うん。もう片方は、ほら。」
左耳を見せると、彼女は嬉しそうに笑った。
「お揃いだ…。やった。」
彼女にも同じ位置にイヤリングを付けてあげる。
ぴたりと寄り添ってきた彼女に、優しく口付けた。

クリスマスは楽しい。
私の可愛い姫と過ごす夜を、こんなに素敵にしてくれるから。