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一瞬の弾ける様な煌めきを、ずっと貴女と見つめていたい。 ページ35

彼女のお婆さんにお揃いの浴衣を着せて貰う。
「凜ちゃん、お腹は苦しくない?」
「はい、全然苦しくないです。」
「なら良かった。ひなたちゃんの事、宜しくね。
お祭り、楽しんできてね。」
「うん。行ってくるね、おばあちゃん。」
私も行ってきますと続け、手を繋いで歩き出した。

久しぶりの外の空気にドキドキするのは引きこもり故の気持ちなのか、
それともいつも以上に美しくなった隣の彼女に対するときめきなのか。
…後者の方が強そう。
「どこに行きたい?凜が決めて良いよ。」
「え…、えっと…。
じゃあ、射的がやりたい。」
「良いよ。
どの景品を狙うの?」
「あの…、あそこの人形。
私の好きなゲームのキャラなんだ。」
指を指したのは、人気の格闘ゲームの
女性キャラクターのソフトフィギュア。
お腹の開いた緑の軍服を着て、青髪をポニーテールに纏めた少女。
「そう言えば使ってたね。レオナちゃんだっけ。」
「うん。一番好きなキャラなの。
だってひなちゃんにそっくりなんだもん。」
そこのおじさんに回数分の対価を渡し、玩具の銃を受け取る。
よーく狙って…、パンッ。
「惜しい。でも上手だね。」
「射的は苦手な筈なんだけどね。」
もう一度、銃口をレオナちゃんに向ける。
三回目でやっと彼女を撃ち抜く事が出来た。
おじさんから景品を貰い、ひなちゃんと共に別の屋台に向かった。

フィギュアを鞄にしまいながら、彼女と話す。
「暗くなってきたね。
ひなちゃんはお腹空いてない?」
「まだ空かないなあ。でも、りんご飴は食べたいな。
凜も食べる?」
「うん、食べる。」
「それ買ったらすぐに行きたい所があるんだけど、
どうしても凜と一緒に見たいの。良いよね?」
珍しく念を押してくる彼女に、私はただ頷いた。

目的の物を買ってから歩みを進め、やがて彼女の言った場所に着く。
「着いたよ。凜は人混みが苦手でしょ?
ここなら安心して見られるって思って。」
彼女がそう言ったすぐ後に、大きな音が鳴り響く。
見上げると、無数の光の束が夜空に煌めきを湛えさせていた。
「わぁ…、凄い。」
腰の辺りを、そっと抱き寄せられる。
りんご飴で紅く染まった唇を、私の耳元に近付けて囁いた。
「凜、私を好きでいてくれてありがとね。
私も凜の事、愛してる。」
私も同じ様に、紅い唇を彼女に寄せる。
そのまま口付け、音が鳴り止むまで離さなかった。

二人きりで見た空は、星よりも美しく感じた。
私はどんな事があってもひなちゃんの隣にいると、あの空に誓う。

初夜の前に重なり合う ※微裏注意→←[魔族]Cupiditas -<別腹>で悶えさせて- ※微裏注意



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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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