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[ツインテールの日企画]たまには二人揃って ページ22

「髪、伸びたね。」
「え…、うん。伸びたかも。」
凜の髪を撫でながらそう話す。
真っ黒で艶のある、絹糸の様な彼女の髪。
「髪型変えたりしないの?」
「変えない、かも。
何が似合うか分かんないもん。」
そう言う彼女に、私はある物を見せた。

「凜、今日って何の日か知ってる?」
「…恵方巻きを食べる日?」
「それは明日。二月二日はツインテールの日なんだって。」
言いながら、彼女の掌に二本のヘアゴムを乗せる。
銀色の三日月のモチーフがあしらわれた物。
「可愛い…。」
「私達にとって、月って特別なものでしょ?
だからそれを凜にあげようと思って持ってきたの。
でね、ツインテールの日は好きな人にヘアゴムを二つ送る日らしいんだ。
まあ、本来は男の人が女の人にするものなんだけどね。」
「じゃあ、私が着ければ良いんだね。
ちょっとやってみる。」
どんな理由であれ、彼女が自分から
可愛くあろうと行動する所は見ていて嬉しくなる。
性格が消極的なら尚更。
彼女は箪笥の上に置かれていた三面鏡を
持ってきて、自分で髪を結び始めた。
結んだ事が無いからか、その手つきは覚束無い。
「…やっぱり、変になっちゃった。」
左右で高さは合っておらず、片方は今にも解けそうだ。
「……ふふ。」
「もぅ、笑わないでよ…。頑張ったのに。」
「ごめんごめん、凜が可愛かったから。
もっと可愛くしてあげるから、鏡見て。」
泣きそうな彼女を向き直らせ、一度髪を解く。
艷やかな髪は、手櫛だけでも綺麗に整えられた。
双方を分け目に沿って纏め、それぞれ上の方でヘアゴムを止める。
「出来たよ。
凜は綺麗めの顔だから、子どもっぽいイメージの
ツインテールはギャップがあって良いなあ。」
「子どもっぽい…?えっと…、ばぶー。」
「もう。私は赤ちゃんとは付き合ってませんー。」
幼くなった彼女の頭を撫でてから、こう提案する。
「私にもツインテールやってよ。」
「え、汚くなっちゃうよ…?」
「良いよ。私は凜にして欲しいの。」
場所を交代し、あげた物とお揃いのヘアゴムを手渡す。
彼女は私がしたのと同じ手順で、私の髪を結い上げた。
出来た直後に、後ろから抱き締められる。
「ふふ、ひなちゃんとお揃いだー。」
「お揃いだね。ねえ、写真撮ろっか。」
控えめだけど嬉しそうに囁く彼女に、今度はそう提案した。

今日の彼女を見て、幼馴染だった頃を思い出す。
その時よりも近い距離で甘える彼女を抱き寄せて額同士を重ねると、
彼女への想いが更に強まった気がした。

初めてキスをした日の話→←告白は月の下で



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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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