もふもふ、ぬくぬく。 ページ13
冬は好きだ。
大好きな彼女と、二人で同じ時に暖が取り合えるから。
許可を貰って玄関先で雪を払い、凜の部屋に向かう。
「ひなちゃん…!凄い雪。」
彼女に会うなり、すぐにコートを脱がされた。
「まだ付いてたか。ちゃんと落としてきたのにな。」
荷物と同じ所にコートを置き、彼女に向き直る。
「手も冷たいよ。
ひなちゃんの手に霜焼けが出来ちゃう。
いつもの手袋はどうしたの?」
「忘れてきちゃった。」
私の手を、その小さな両手で握り込む彼女。
こうやって凜に暖めて貰う事が真の目的だったり。
その手を、今度は彼女の頬にそれぞれ充てがわれた。
「本当にひんやりしてる。
ひなちゃんの手、気持ち良い…。」
「凜の手は暖かいよ。」
ねえ、もっと暖めて。
そう言う様に、私は彼女と自分の額を重ね合わせた。
彼女が淹れてくれたホットココアを飲み、一息吐く。
「…美味しい。」
「良かった。初めて淹れたから、
上手くいかなかったらどうしようかと思った。」
パックのココアは間違えようが無いけどね。
「上手くいってなくても飲むよ。
凜か淹れてくれた物なら何でも美味しい筈だからね。」
「そんな事無いもん。
私不器用だから、料理も出来ないし。」
「愛情が込もってたら何でも美味しいの。
それに、ゆっくり上手くなったらその分愛情も込められるでしょ?」
彼女の耳元でそう囁き、首筋にキスを落とした。
「ひゃっ…!不意打ちやだぁ…。」
「頑張って作ってる所を想像したら、あまりに可愛かったから。」
「ぞくぞくってしちゃった。寒いのにー。」
そう言って自分からくっついてくる凜も可愛いよ。
「ひなちゃん、一緒にぬくぬくしよ?」
「一緒にって、これじゃ足りないの?」
違うと言って私から離れ、ベッドの掛け布団を持ち出してくる。
「これに、一緒に包まるの。」
こんな可愛い提案、受けない訳無いでしょ。
ベッドの上に並んで座り、出来るだけ体を密着させて包まる。
元が一人用なので少し窮屈に
感じてしまうけど、相手が凜だから気にならない。
むしろ。
「何か心地良いな。このまま眠れそう。」
「やだ。このままぎゅーってするの。ダメ?」
「ダメじゃないよ。…凜、凄い良い匂い。」
「ひなちゃんも良い匂いする…。」
はにかみ合いながら近付いて、どちらからともなく口付け合う。
そっと離すと彼女の顔は、蕩けた様に紅く染まっていた。
身体を重ねる以外にも存在する、密着し合える愛情表現。
必然的に甘く囁かれるその声に、私もまた恍惚に顔を歪めた。
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ