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私達の<普通> ページ2

「…じゃあ、今日はここまでにしよっか。」
「うん。」
机に広げていた勉強道具を片付け、互いに向き合う。
土曜日は私達にとっては大切な時間。

「今週は問題のレベルが上がってたけど、よく着いて来られたね。」
「…ひなちゃんの教え方が上手だったからだよ。」
学校に通っているひなちゃんとは違って、
二年の初め頃から家に引きこもっている私。
学校で習うものの殆どを掻い摘んで、
それでいて分かりやすく教えてくれる彼女は、
私にとっては特別な存在。
「凜、明日も家で過ごすの?」
「…そのつもりだよ。
今更どこにも出て行けないし。」
そう答えた私の腰に腕を回し、彼女は一層距離を近付ける。
「またネガティブになってる。
凜は綺麗な顔してるから、堂々としてれば良いの。
それとも、何か心配事?
…ああ、私達の事か。そんなに周りの目が怖いの?」
小さく頷く私に、今度は左の掌を私の頬に沿わせてきた。
彼女のあどけなさの残った可愛らしい顔立ちが、私の瞳に映される。
「ひなちゃんは、怖くないの…?」
「私だって、最初は怖かったよ。
でも凜と一緒にいると、凄くドキドキするの。
その気持ちは本当だから、受け入れたらスッキリした。
そうしたら周りの目も気にならなくなって。」
……ひなちゃんは凄い子だな。
私はそんなすぐに切り替えられないよ。

「ねえ、明日デートしない?」
その言葉に、私の心臓が飛び跳ねる。
「え…、え…!?」
どうやら顔に出ていた様だ。
「今は服、ジャージしか持ってないんでしょ?
一緒に凜に似合う服を見に行きたいなって思って。」
嬉しいお誘いだけど、やはり私の体は強張ってしまっていて。
「…似合う服なんて無いよ。私地味だもん。」
「地味な訳無いでしょ。私より可愛い顔してる癖に。」
「ひなちゃんの方が可愛いもん。」
「凜の方が可愛いの。
肌も綺麗で睫毛も長くて。羨ましい位だよ。」
「だったらひなちゃんは…んっ。」
言葉の途中をキスで遮られる。
目を閉じてそのまま彼女に任せると、
うっすらと開けていた所に舌が捩じ込まれる。
時計の音とリップ音しか聞こえなくなった
私の部屋の温度が、何故か急激に上がる感覚を覚えた。
一頻りキスを堪能し、絡め合っていた舌同士を解く。
「…ベッド、行こっか。一緒に寝よ。」
「本当に寝るだけ?」
「ふふ、分かんない。」
誘う彼女に訊くと、落ち着いた笑顔でそう答えた。

<普通>の基準なんて、違って当たり前。
恋愛だってそう。
私に、私達にとってはこれが普通なの。

お家デートの醍醐味→←主な登場人物



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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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