40 ページ40
.
嗚呼、どうせなら最後だ。
深く息を吸い込んで、棺の中で眠る彼の上体を起こして、ふっくらと艶めいたグロスの輝く唇へと優しく口付ける。
本番までに取っておいた本気の口付け。
演技に任せてでしか伝えられない俺を許して欲しい。
「貴方が、……ッ、」
綺麗な黒い目に見詰められ出るはずのセリフを再びキスで塞いだ。
白い頬が赤くなるのを見届けてから体を離し、目の前に手を差し出す。
乗せられた綺麗な手を握り、ゆっくり立ち上がり、……そこで暗転。
暗闇の中ではけられていく大道具を見届けて、照明の当たる舞台上にクラス全員で立った。
大きな声で発した「ありがとうございました!」なんていつもの言葉は、隣に立っていたきょもの口からは聞こえなかったが、そっと顔を覗き込むと複雑そうに俺から必死に目を逸らしている。
控え室で大成功だと騒ぐクラスメイトは、黙りこくった俺ときょもを置き去りにして、打ち上げはいつにしようだとか、俺のアドリブが良かっただとか話している。
次第に俺らに注目が移り、話の中心に入れられようとした所で慎太郎から「観たよ〜。早く合流しようぜ〜。」なんてメッセージが来ていた。
裏方をしていた人が何人か控え室から出て行くのを見て、「打ち上げは明日考えよ」と提案し直ぐに離れた。
.
468人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
thhy - とっても面白かったです! (2月6日 18時) (レス) @page50 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきいも(プロフ) - 紅の三角#苺日和さん» 有難う御座います。スト初連載なので少々不安もありますが、更新頑張ります! (2019年5月8日 8時) (レス) id: d098632194 (このIDを非表示/違反報告)
紅の三角#苺日和 - きょもじゅり大好きです!!更新頑張ってください(・А・#)(・!・) (2019年5月6日 22時) (レス) id: ccec864579 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むらさきいも | 作成日時:2019年4月29日 5時