【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【2】

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やはりアルくんの考え付いた隠し場所はかなりの労力を費やさないと見つけられないだろうな、と改めて諦めを覚えた。
自然と足が校内の階段を登り、カツン、カツン、だなんて自分のヒールと滑らかな階段の表面がぶつかり合う音に耳を傾けていれば、目の前に扉が映った。
前回魔力テストを行なった屋上だ。

ぐ、とドアノブに力を入れればいともたやすくその扉は開き、視界いっぱいの青空と歓迎するような風が吹く。
カツラが飛ばされなければいいけど、なんて思いながら髪を抑えていれば、屋上の真ん中に横たわる男性がいるのが見えた。
絹のような銀色の髪の毛。閉じられた瞳に、整った顔立ちと長く細い四肢。

「風紀委員長だ」

私に気づく様子もなく、風紀委員長は頭の後ろで腕を組み地面に横たわっては眠っているようだった。
こういう萌えイベは宝を探しに来たチワワに任せよう。「え、風紀委員長様……！？」「おや、いけない子だね……僕の寝顔を見てしまうとは」とか背景に薔薇咲かせて楽しむといいよ。そういえば私この人の名前知らないわ。なんて、思いながら踵を返す。
後ろ手で扉を閉めようとすれば、ギィ、だなんて扉が軋んでしまう。おいお前入ってくるときは無音だっただろうがいきなり軋むんじゃないよ。擬人化して妄想するぞ。

「俺の睡眠を邪魔するとはいい度胸だな」

ひゅ、と小さく風を感じて気づけば私の首元に冷たい何かが。身に覚えのある感覚だ。そっとそれを指でなぞって、やはり、と確信する。ナイフだ。

「へぇ……思ったよりも臆しないんだな」
「……記憶を辿る限り、あなたは僕と敬語を使うキャラだったと思うのですが」
「はぁ？ ーー……あ」

合点がいった、みたいな小さい声とともに、私の首は解放された。
自由になった首を軽く右手でさすって無傷であることを確認し、私はくるりと振り返る。そこには呆然とした顔の風紀委員長がいた。そんな間抜けな顔でも整ってるとか美形だよね。

「……ホノカさん」
「そうです」
「……あの、すみません」

少しだけ青ざめた顔で風紀委員長は言う。
実害はなかったので、私は手をひらひらさせて謝罪を受け流した。

「どっちが素なんです？」
「……秘密にしてもらえますか」
「えぇ、もちろん」

萌えのためですから。もちろん心の中までに止める。

「……以前、その、品行を乱した行いをよくしていたもので……」

猫かぶり不良の過去あり敬語キャラありがとうございまーーーっっっす！！！！

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