45ねむ ページ46
目が、合ってしまった。
あまりに大きな音だったものだから、ついそちらを見てしまったのだ。反射神経というものだ、仕方がないだろう。私は悪くない。
だけどあまりに怒りのこもった眼力に、私の背中はピンっと引き延ばされた。
すぐに目を離したが、もう遅い。もう完全にこちらを睨んできている。あわててパソコンに集中しようとするも、まるで視線が具現化したかのように私の右側が、主に顔の右半分がチクチクする。これが殺気か。
「……テメェ、よくおめおめと顔出せたもんだな」
「ひぇっ……サボったらサボったで怒るくせに……」
「あぁ!?」
はい、すみません口を閉ざします。
怯える小動物のように私は椅子から滑り降りて地面に膝をつき、机の下に体のほとんどを隠しながら頭を抱えて身を守る。そして机の影から会長のほうを見る。
制服の上に着ているコートは、髪のおなじくらい漆黒で、その瞳も黒曜石を切り取ったかのように真っ黒。あぁ、その髪の色と瞳はきっとあなたの腹黒さを表しているんですね、わかります、なんて心の中で毒づく。
「まぁまぁ、ヴィル。あれは僕から見ても貴方が悪かったですよ」
「うるせぇよヴァ―ノン、お前はどっちの味方なんだ」
「もちろん、Aですが。ただでさえ慣れない環境の中学生生活を過ごそうとしている彼女にあのような場は酷だと思いませんか?」
「思わないな、これっぽっちも。こんなところに来るんだったら相応の覚悟をしているべきだろ」
はっ、これは会長×副会長!?
目に焼き付けなければとあわててテーブルの下から出てきて座りなおす。だがすぐに会長がぎん、とこちらを睨んできて私はまたすっぽりとテーブルの下に隠れた。
「いやー、面白いね、A。入って早々俺らがボス、ヴィルくんを煽るとかさー。珍しいものを見せてもらったよ」
会長の背中に隠れて見えなかったが、アルくんもいたのか。
ひょこ、とオレンジ色の頭が会長の背中から出てくる。そんな彼は赤色のコートを着ている。そういえば、ヴァ―ノンさんも灰色のコートを着ているなぁ……デザインも同じだし、お揃いかな?え?萌える。
「こないだはひどいこと言ってごめんね? 会長を正面から罵倒する子が俺らの玉の輿狙いなわけないよねー、これからは仲良くしてね!」
「……はぁ」
アルくんにとってはこれが正解だったようだ。
差し出された手を握るも、握り返された握力は弱い。まぁ、どうせ30%くらいしか信用していないんだろうな。本当に息しづらい。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時