4ねむ ページ5
それから理事長は、私を寮へと導いてくれた。
それというのも、目の前を飛ぶ蝶々を使って。
青から紫へのグラデーションがかかっている綺麗な蝶は、鱗粉を散らしながら私の前を舞う。
この子は理事長の使い魔の一人で、ランクこそ最低ランクのEだけど一番扱いやすい子の一人だ。
魔力が低い女性の中で人気で、家の仕事を手伝わせる人だっている。
今は道案内をしてくれているので、私は黙々とこの蝶々をついて歩く。
すると目の前に、高級ホテルがそびえたった。
うん、王道の通り無駄に高級な設備!未来が有望な生徒たちを集めただけあって、無駄に金使ってる!興奮してきた。
「ありがとうね、パピオン」
これで案内終了というように空中でパタパタと羽を動かす蝶々の精霊、パピオン。
私は満面の笑みを浮かべて、人差し指でちょん、と彼女を突く。
するとその行為が嬉しかったのか、羽を忙しなく動かし鱗粉を沢山まき散らした後、パピオンは跡形もなく消えた。
飼い主のもとに戻ったのだろう。
「さて、ここが私の新しい住まいか……」
どうやって入ろうかと見ていると、自動ドアのすぐ隣に別の扉がある。
よく見てみると「寮長室」という表記が書かれていた。
小説を読む限りでは先にこちらを伺うのが正しいだろう。
「ごめんくださーい!」
「あぁ?鍵を失くした・鍵を落とした・鍵を奪われた・鍵を盗まれたのどれだ」
「……選択肢が限られてるんですけどー」
ひょっこりと扉から首を出したのは、これまたイケメンさん。
ワイルドな髭面だが、強面ながらその眼光の鋭さに筋肉のついた体つき。
あぁもうチワワ生徒を持ってけドロボー!
「……女……あぁ、お前か、理事長が言ってた特例っつーのは」
「お、男だっつの」
「ウルセェ。 教師陣全員に話通ってるから騙そうとすんなよ」
ちぃっ、理事長め勝手なことをしおって!
「しかし成程な。 特例通っただけあって、バカげた魔力量してやがる」
「分かるんですか?」
「んなもんちょっとくらい優秀ならすぐ分かるだろ。 あ、あった」
ごそごそしながら会話を続けていたと思ったら、寮長が何かを引き出しの中から見つける。
そして私に渡してきた。
それはレトロなデザインの、鍵。
それに番号のついた札がかかっている。
「お前の部屋の鍵。 めんどくせーから失くすなよ」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます!生きる糧なんて嬉しい!ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい!ゆっくりになりますが更新頑張ります! (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです!更新待ってます! ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って「どっちですか」って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月6日 13時