31ねむ ページ32
両手を合わせて、「ご馳走様」と感謝の念を告げる。
するとオオカミくんはとっくに食い終わっていたらしく、食後のコーヒーを飲んでいた。ちなみにブラック。格好いい！
「ってか思ったんだけどさ」
「あ？」
「オオカミくんって俺のこと友達だと思ってたんだ」
「はぁ！？ 思ってねぇよ！」
「だってさっき、俺以上に長くつるんだ奴いないって言ってたじゃん。ってことは友達じゃん」
俺も食後のミルクティを口にしながら言葉を返す。
高級茶葉を煎じて淹れられた紅茶の風味に思わずほう、とため息をつく。もうさっきから流石としか言ってない気がするが、ここで食事できるのは本当に幸せだ。
「……お前、平気で恥ずかしいこと言うよな」
「まっかせろ！ 恥ずかしがってちゃ人生損するからな！」
「ばぁか」
ぐっと拳を握りしめポーズをとると、余程私が馬鹿に見えたのかオオカミくんが肩を震わせ笑い出した。あ、こんな風に笑う姿初めて見た。
年相応に笑うオオカミくんはちょっと可愛くて、でも顔が整ってる分すごく格好良かった。本当は素直だと思うんだけどなぁ……まぁ何か事情があるんだろう。
私は両手をテーブルについて立ち上がる。私の足にぶつかり後ろに下がった椅子は、少しだけ不快な音を鳴らした。
「じゃ、帰ろっか」
「そうだな」
オオカミくんはやっぱり私と違って上品で、口元をナプキンで軽く拭いてから椅子を少し後ろに下げて立ち上がる。不良にしか見えないけど、親の職業のこともあって多分すごく育ちがいいんだろう。
知れば知るほど面白いなぁ、と思わず笑みを浮かべてしまった。
ふと、私たちが向かおうとしている出入口あたりが騒がしくなった。騒がしいというか、周りがひそひそと話す声の声量が上がり、席を立ちあがりそちらのほうへ視線を向けるものもいる。それどころか、席を離れてそちらのほうへ向かう者まで出てきたことで、そちらに人だかりができていた。
だけどそんな彼らの身長を、注目の的の二人は優に越しているせいでこちらからも容易にその姿が見える。
「……会長に副会長」
「あぁ、Aさん」
こんばんは、と副会長がこれまた上品そうに頭を下げて挨拶をしてくる。それに対し私もこんばんは、お疲れ様ですと簡易的に返した。
会長は徹底スルーのつもりだったようだが、オオカミくんの姿を見つけるとすぐにこちらを向いた。
「底辺同士、お似合いだな」
「……あぁ？」
「ちょっと、ヴィル！」
成程此処まで私は嫌われてたのか、剣呑だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 礼羅さん» きゃーありがとうございます！生きる糧なんて嬉しい！ゆっくりですが更新頑張ります。これからどんどんキャラ増やすのでどんどん推しが増えますように！ (2018年7月18日 10時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ウィワクシアさん» ショートだったのですね……主人公にはない魅力です……！ (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ほたるいかさん» えぇえぇええ嬉しい！ゆっくりになりますが更新頑張ります！ (2018年7月18日 10時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
礼羅(プロフ) - 毎話楽しみにしています。本当に素晴らしい作品で、もう生きる糧の一つのようなものです！更新待ってます！ ちなみに私の推しは主人公とエドです (2018年6月20日 18時) (レス) id: f42c81b12e (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - これ読んでたら高校時代スラックスで通って｢どっちですか｣って聞かれまくったの思い出した (2018年5月22日 19時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：始まりの神 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月6日 13時
