ジオメトリック・ラブ ren&sho (ページ8)

今日:1 hit、昨日:29 hit、合計:143,493 hit

・ページ8

・

・

「え、ああ前言ってた奴やん。
関西弁でキャラ被ってるって」

「誰ですか？っ名前とか！」

「ああ名前！廉、永瀬廉やで。知らんの？キャーキャー言われてるやん。」

先輩の声が遠く聞こえて。
永瀬廉という名前だけが私の頭をぐるぐる回る。
もう永瀬とは関わりたいくない。

「…Aちゃん？」

「……ああ！ごめんなさい！ボーッとしちゃって、」

「大丈夫？」

心配そうに聞いてくる先輩。

「大丈夫です、！永瀬くん有名ですよね。
同級生だからか結構噂されるの聞きます！」

先輩にバレないように笑顔を作り元気そうな様子を作った。

「その、先輩は永瀬くんとどのくらい仲良いんですか？」

「えー、結構やで。普通に遊ぶし！」

「…そ、そうなんですね。」

「……？やっぱりAちゃん顔色悪ない？」

「ごめんなさい、今日帰りますね。」

逃げるように屋上を後にして。
階段を下りると大きな溜息をついた。

先輩が永瀬と知り合いなだけでこうにもなるとは。
私、相当キてるな。

だって、もし平野先輩が永瀬に私のこと話したら？

別に今更私のことなんて興味無いとは思うけど。

私と平野先輩の関係はバレたくないし、崩されたくない。

永瀬と距離を縮めようなんて思わないし、あっちも望んでいない。

誰もいない自分の教室に入ってひったくるように鞄を掴んでまるで誰かに追いかけているかのように階段を駆け下りる。

「……っわ！！！」

下ばっかり見てたせいか踊り場で誰かとぶつかってしまった。

「っすみません！」

急いで謝って顔を上げると

「…へ、永瀬…っ」

・