IV：Restraining ページ13
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ぶつかったのが偶々、今私の頭を支配している永瀬本人で。
息が詰まった。
「…あ、……ごめ…っ、」
出た言葉は途切れ途切れで相当動揺してることが自分でも分かる。
永瀬の顔は見れるはずがなくて、俯きながら逃げるようにその場を去ろうとした。
…のに、
「…待って、」
脳内を刺激するあの透き通る他より高い声。
私の足が止まる。
振り返らず、じっと次の言葉を待つ。
足音が聞こえたからきっと近づいてきたのだろう。
「…A、久しぶりやな。」
呼ばれた名前。想い出す記憶。
バッと振り向くと複雑そうな顔を浮かべ引き攣ってる顔。
なに、その顔。
私と喋るの嫌なんでしょ。
無理矢理話す必要なんて何処にもないよ。
「…そうだね。」
「元気やった？」
元気だったよ。
あの日からリセットして私は逃げたんだから。
元気じゃないと可笑しいでしょ。
でもね、心がぽっかり空いたようにどこか淋しかった。
そんな気持ち押し込めてた。
「…元気してたよ。永瀬は元気そうだったね。」
流れてくる噂、いや事実に嫌味を付けるかのように言う。
「え、？ああ」
「ほら、彼女待ってるんじゃない？早く行かないと。じゃあ、私行くね。」
こんな事しか言えない自分が惨めで惨めで仕方なくて早口で別れを告げるとまた方向転換して歩き出す。
…なんで、そんな哀しい顔するの
「なあ、待ってって」
もう、振り向かない、関わらない。
そう決めたのに、進んでいた足は永瀬が私の腕を掴んで呆気なく止められる。
「もう、なにって！私と永瀬はもう関係無いじゃん！」
私に侵食する感覚が嫌で、こんなとこ見られたらまた目を付けられるかもなんて思うと突き放すことしか出来なくて、怒鳴る私に黙る永瀬。
「…関係無いよ。」
「……」
永瀬にそう言われると胸が絞られるように痛くなる。
自己中心的な考えだ。
「やけど、なんで紫耀とおるん？」
……っ、やっぱり見られてた。
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作者名：麗夢 | 作成日時：2018年7月20日 14時
