これは想定外 ページ5
.
王都の郊外にある古城に着き、きりやんはAの頭をぽんぽんと撫でた。
「今日からここで暮らすんだぞ」
王都の兵士達の依頼を何度もこなしていたら、活動拠点にと、この城を譲り受けた。
過去に貴族だか王族だかが使っていたらしいが、今は使われていなかったらしい。
とにかく広くて、動物達を飼うには最高の環境だ。
離れの建物に足を向ける。
きりやんは連れ帰った動物達を、この建物でまとめて面倒見ていた。
「みんな〜、新入りだぞ〜」
新しい仲間が増えた嬉しさで、きりやんはうきうきと扉を開けた。
しかし。
次の瞬間、部屋の中にいた全ての動物達が一斉に吠え立てた。
体の大きな猛獣から、掌サイズの可愛らしい小動物まで、皆がAに敵対心を向けている。
Aも怯えたようにきゃんきゃんと吠え立てる。
「うぉわ！！どうしたどうした」
逃げようとするAを必死に押さえつける。
「A、お前、その見た目で負けるなよ」
Aは動物達の中でも、特に体が大きい部類に入るはずだが、完全に耳を伏せて怯えていた。
威風堂々とした見た目に似合わず、随分とビビリのようだ。
「お前らも、どうしたんだよ、いつも新入りに優しいだろ」
始めはおっかなびっくりではあるが、いつもきりやんが連れてくる動物達は、ここで温かく受け入れられていた。
「ぽちんき、威嚇しないの！！どうした、いつも率先して新入りの面倒見てくれるのに」
特に体の大きな獅子の魔獣が唸るのを見て、きりやんは溜め息をつく。
動物達をなだめようにも、手を離したらAが逃げてしまいそうだ。
落ち着かせるように、背中を大きくさすってやる。
「わかったから。ここには置いてかないから落ち着けって」
実際、ここにAを、置いておくのは危ないだろう。
喧嘩にでもなったら目も当てられない。
「慣れるまでは、お前は俺の部屋だな」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれいん(プロフ) - 久しぶりにまた読んじゃいました。ハートがまた押せるようになったのでうふふですね…！！やっぱこのお話好きだし、いつ飼い主じゃなくなるのかなぁってむふむふしちゃいます (5月15日 11時) (
レス) @page46 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ガナッシュs2さん» 通知が来てちょうど読めるくらいの時間があったので一からまた読んじゃいました…！やっぱりたまにあるクスッとする所好きです笑 (2023年1月10日 2時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - すみれいんさん» いつもハートありがとうございます！こちらもバタバタしていて更新できてなくてすみません！…こちらの続きもそのうち……！ｗ 必ず………！！ｗ (2023年1月9日 21時) (レス) @page46 id: 1465e56711 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ガナッシュs2さん» バタバタしておりお返事滞ってしまいました◯¬ 寝れそうになく読みたいと思い再び読みに来ました！しかもハート押せます。キタコレ！！となっております (2022年10月10日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - トキさん» 番外編も気に入っていただけてよかったです！！！せっかくの異形夢主が人間に戻っちゃったので、番外編で獣ver再登場してもらいましたｗ (2022年9月25日 0時) (レス) id: 1465e56711 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ガナッシュs2 | 作成日時：2022年8月3日 17時
