さっさと諦めた方がいいんじゃない？ ページ34
.
石造りの堅牢な建物の前、数名の兵士達は、気まずそうな顔できりやんの行く手を塞いでいた。
「申し訳ありませんが、きりやん殿でもさすがにそれは……」
初老の兵士長が、すまなそうにそう言って頭を下げた。
Aを保護した日に捕まえた連中が、地下牢に投獄されていると聞き、
きりやんは面会を申し出ていた。
「奴らは法律で禁じられた危険な術を使って研究をしていました。その知識が民間人に漏れないよう、専門家以外の面会は禁止されているのです」
兵士長は丁寧に説明してくれたし、きりやんもそれは重々承知の上だ。
しかし、どうしても聞かなければいけないことがある。
手段は選ばないと決めていた。
「まぁ、そうでしょうね………。でもなぁ〜〜〜」
きりやんが背後に目配せすると、連れてきた動物達がぞろぞろと兵士達の前に集まってきた。
今日は、特に獰猛な面構えの子達をあえて選んできている。
「そもそも、俺らが捕まえたわけだし〜。俺がそぉんな危険な知識とかを吹聴する人間じゃないことは解って貰えてると思うんだよなぁ〜」
独り言のような言葉を大声で呟いていると、動物達が威嚇音を出しながらじりじりと兵士達に詰め寄っていく。
兵士長すらも、動物達の牙の鋭さにたじろぎ、後ずさる。
「きっと、建前でそう言ってるだけですよね。本当に駄目なら力ずくで止められるだろうし」
そう言って、きりやんは兵士達がさっきまで守っていた扉に勝手に手をかけた。
「こ、困ります、きりやん殿！」
しかし、動物達にビビって動けない兵士達は誰も止めには来なかった。
「きりやん殿！戻って下さい！……というか助けて！！」
きりやんは動物達の中から１頭だけを伴って、地下への階段を降りていった。
地下牢の前で居眠りをしていた看守が、突然の来訪者にぎょっとする。
「ど、どうしてここに？ここは立ち入り禁止です！」
「あ、上で許可貰ってきたんで。鍵、開けてもらえます？」
「は、はぁ」
看守は訝しげにしながらも、牢屋の鍵を開けた。
ここまで入って来れたという事実に、許可を得たという発言を信じたようだ。
きりやんが中を覗き込むと、男達が牢の中でぎょっとする。
「貴様、あの時の傭兵……。何でこんなところに…！？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 760人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれいん(プロフ) - 久しぶりにまた読んじゃいました。ハートがまた押せるようになったのでうふふですね…！！やっぱこのお話好きだし、いつ飼い主じゃなくなるのかなぁってむふむふしちゃいます (5月15日 11時) (
レス) @page46 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ガナッシュs2さん» 通知が来てちょうど読めるくらいの時間があったので一からまた読んじゃいました…！やっぱりたまにあるクスッとする所好きです笑 (2023年1月10日 2時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - すみれいんさん» いつもハートありがとうございます！こちらもバタバタしていて更新できてなくてすみません！…こちらの続きもそのうち……！ｗ 必ず………！！ｗ (2023年1月9日 21時) (レス) @page46 id: 1465e56711 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ガナッシュs2さん» バタバタしておりお返事滞ってしまいました◯¬ 寝れそうになく読みたいと思い再び読みに来ました！しかもハート押せます。キタコレ！！となっております (2022年10月10日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ガナッシュs2(プロフ) - トキさん» 番外編も気に入っていただけてよかったです！！！せっかくの異形夢主が人間に戻っちゃったので、番外編で獣ver再登場してもらいましたｗ (2022年9月25日 0時) (レス) id: 1465e56711 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ガナッシュs2 | 作成日時：2022年8月3日 17時
