211話 ユルバルス（1） ページ7
アンケシ「生きてるって・・・・信じてた」
A『言ったろ？簡単にはくたばらねえって』
アンケシはAの上でピクリとも動かない。
Aはアンケシの背中に左手を置き、優しく撫でる。
二人の上空をシロが旋回していた。
A『元気だった？・・・それと重くなったな』
アンケシ「・・・・・・」
アンケシがAの外套を強く握り締める。
A『立てるかい？アンケシさん。
さあ杉元たちを探しに行こう』
アンケシ「・・・ごめん・・・ごめん」
A『・・・・・・？』
アンケシ「守ってくれて・・・ありがとう」
Aは優しく微笑んだ。
A『うん・・・これくらい何ともないよ』
『アンケシさんは怪我はないかい？』
アンケシが小さく頷いた。
A『さあ・・・行こうか』
Aがゆっくり起き上がる。
アンケシの顔は涙と鼻水でベチャベチャだった。
A『泣きすぎじゃない？ちょっと・・・』
手袋でAが拭いてやるとアンケシは照れくさそうに笑った。
A『・・・・・シロ。杉元たちを探せ』
シロが返事をすると羽を羽ばたかせるとふたりは歩き出した。
Aは自分の身に何が起きたのかを話し始めた。
A『キロランケが網走監獄でイソンノアシを殺したんだ』
『それで・・・俺に【協力しなければ殺す】と言ってきた』
『・・・キロランケを取り押さえることができたんだ』
『【降参するから離してくれ。
知ってることはすべて話してやる】』
『そう言われたから、手を離した。
そしたら・・・あっという間に腹を刺された』
アンケシが驚き、眉をひそめた。
A『まあ・・・あとはアンケシさんが見た通りだよ』
『アイツ、アンケシさんに向けて爆弾を投げやがって・・・』
アンケシ「その後は・・・？私は気を失ってしまったから――」
Aが少し躊躇ってから軍帽を取り、額当てを見せる。
アンケシは息を呑んだ。
A『・・・百に撃たれた。キロランケが俺の手からアンケシさんを連れ去っていった』
『アンケシさんたちが樺太にいるという証言をくれたのはインカﾗマッだ』
『彼女はキロランケからこんなことを聞いたらしい』
『アンケシさんとアシﾘパの父親が変わってしまった・・・』
『【金塊の情報を古い仲間たちに伝えに行くはずだったのに・・・】ってな』
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
