209話 罪穢れ（3） ページ4
尾形「Aは最後にこう言っていたよ」
「【金塊の鍵は・・・アシﾘパとアンケシさんから聞いてくれ】」
「【俺の恋人を・・・赫映を、見つけて欲しい】」
痛い、胸が、痛い。
「【Aのやりたい事ってのは【想い人探し】だろ？】」
私とアシﾘパは、息を吸うのも忘れそうになった。
百が続けた。
尾形「杉元とは仲良くなれなかったが道中助けられたこともあった」
「Aは大事な弟だからな・・・」
「ふたりの最後の頼みのためにも教えてく・・・」
アシﾘパ「そのひとの名前は聞けたのか？」
アシﾘパが百を見つめた。
そのひと、それは佐一の惚れた未亡人の名前だろう。
百が少し考えてから、「トメ」と呟き、
軍に問い合わせれば直ぐにわかるだろうと言った。
じゃあ。
アンケシ「ほかには？何を言っていた？」
尾形「【故郷に帰りたい】ふたりともそう言っていた・・・！！」
「だからアイツらのためにも・・・」
アシﾘパ「他には？全部教えてくれ・・・」
「最後に何か食べたいとか・・・言ってなかったか？」
百が顔を上げた。
尾形「あ？ああ・・・言ってたぜ。故郷が同じだったから・・・アイツ等は・・・」
「【あんこう鍋が食べたい・・・】って」
・・・え？
アシﾘパ.アンケシ「「あんこう鍋？」」
私とアシﾘパは同時に呟いた。
アンケシ「そいつはAじゃない」
アシﾘパ「杉元でもないぞ」
百が私達を見下ろす。
アシﾘパ「尾形お前・・・」
アンケシ「誰の話をしているんだ？」
アシﾘパ「私の知ってる杉元なら【干し柿】と答えたはずだ」
アンケシ「Aはあんこう鍋なんかじゃない。【干し梅】が好きだと言っていた」
二人だけしか知らない約束がある。
私はアシﾘパと百の手を無理やり引き離した。
私とアシﾘパは尻餅をついてしまった。
尾形「落ち着け。アシﾘパ アンケシ」
百の手から逃れるために散乱した矢を一本だけ回収して弓を構える。
アシﾘパも同じようにした。
アシﾘパ「近づくな」
アンケシ「貴方はなにひとつ信用できないッ」
アシﾘパが私を横目で見、叫んだ。
アシﾘパ「アンケシは直ぐに尾形から離れろッ」
「尾形はお前に何をするかわからないぞッ！！」
「耳を澄まして白石を探せッ！！」
・・・アシﾘパを置いて――いや、任されたんだ。
アンケシ「わかった！！・・・気をつけて」
私は弓と矢を一本だけ持って、その場を離れた。
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
