「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

stage 42 ページ42

Reo side





何でキスしたの？って


それはAちゃんの事が好きだからだよって
可愛くて堪んなくて、したくなったからしたんだよって。

そんな事言えるはずもなくて


いざ相手に恋人がいるとなると弱気になる俺



Aちゃんだって、素直に受け入れてくれたし
ここまで攻めれば俺のもんなのに

そのあと一歩が踏み出せない俺






「 … 玲於さん、私ね 彼氏いないよ 」

玲於「 は？」


「 亜嵐くん達が勝手にそう言ってるだけで、本当は付き合ってる人 … いない。」


玲於「 … まじかよ 」





今まで俺が我慢してたのはなんだったんだ？

そもそも誰のものでも無かったってこと？



確かに否定するのも面倒くさいよな、わざわざ「居ません」なんて言うのも嫌だろうし

俺だってまだ彼女と別れたってちゃんと伝えてない。





「 だから、こういうの困る … 」

玲於「 何で？」



「 玲於さんにとって、私は遊びかも知れないけど …

こういうのされたら 普通じゃなくなるから 」


玲於「 どういう意味？」





遊びなんかじゃないよ

最初はそりゃ、落としたら面白そうって理由で近付いたけど

Aちゃんの事を知るたびに 惚れていったのは俺の方だし




「 玲於さんの事、友達として見れなくなっちゃうから … 」





ねぇ、そんな顔しないでよ

Aちゃんってこんなに可愛かったっけ？


キスされたくらいじゃ落ちないような、サバサバしたキャリアウーマンじゃなかったの？

真面目に敬語使って、仕事をちゃんとこなしてさ

俺みたいな男なんかにドキドキしなさそうなのに






玲於「 … 顔真っ赤じゃん 」

「 っ … 誰のせいだと思ってるの 」


玲於「 んー、俺？」





よかった

友達として見られてたら、それこそ俺が困るから
ちゃんと男として見てくんなきゃね

まさかこんなに彼女がウブだったとは知らなかった





「 分かってるなら、もうしないでよ 」

玲於「 無理に決まってんじゃん。」


「 はぁ … 」


玲於「 俺、Aちゃんの事落とすって決めてっから 」






宣戦布告、ってやつ。

俺ってこんなにマジだったんだな
こうなったら何が何でも落としてみせる

もう遠慮なんてしない




「 … こっちこそ、惚れさせてやる 」




なんて、頰をぷくっと膨らませて俺を見る彼女

なんだよそれ。可愛いにも程がある。
どんだけ小悪魔なの、この子は




もう、とっくに惚れてるし



言わないけど








.

stage 43→←stage 41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す